8月17日(木)「今日のつぶやき」は、熊田プウ助さんの「年寄りが蚊に刺されても痒がらないのは、せつないわ」のつぶやき。
年寄りが刺されない、刺されてもあまり痒がらないのは、体が毒にムキに反応せず「あーはいはい刺されちゃいましたねしょうがないですね、いいですよゆっくり分解して解毒しますから」とあきらめる「自然後天的免疫寛容」だという説を読んだ。どっちにしてもせつないわ
— 熊田プウ助 (@kumadapoohsuke) August 12, 2017
確かに、小さい子供とお年寄りが一緒にいたら、蚊が寄っていくのは間違いなく子供の方だし、お年寄りが刺されててもあまり痒がっているしぐさを見ない気がします。
年齢とともに異物に過剰に反応しなくなることを「自然後天的免疫寛容」とよぶ説があるのですね。
花粉症にも同様の「自然後天的免疫寛容」が起こるのかわからないのですが、「免疫寛容」のメカニズムは花粉症などのアレルギーに重要なものですから、ちょっとおさらいしてみましょう。
免疫とは
免疫は、自己と自己でないものを見分け、体にとって安全なもの(自己)はそのままに、害のあるもの(非自己)とは戦って排除するという仕組みです。
免疫の働きが弱まると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、がんのリスクが高まると言われています。
逆に免疫が過剰になると、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状が発症します。
免疫は、初めて体内に入ってきた害のあるもの(非自己)に対して抗体をつくって待機させます。二度目に同じものが入ってくるとその抗体で攻撃し体を守ります。
細菌やウイルスなどの病原体を免疫が攻撃してくれるのであれば問題ありませんが、攻撃する必要のない花粉や卵、牛乳、小麦、ダニ・カビなどを免疫が攻撃し始めるとアレルギー反応が起こります。具体的には、害のあるものと抗体との反応でヒスタミンなどの物資が放出され、それがアレルギー症状につながります。
ではアレルギー反応を起こさないようにする方法があるのでしょうか。
それが免疫寛容なのです。
免疫寛容とは
免疫寛容とは、害のあるもの(非自己)に対して免疫システムが攻撃しないようにする抑制状態のことを指します。
体の中で最も免疫細胞が集まっているのが腸です。なぜなら、口から胃、腸へとつながる消化系は皮膚と同じく一番害のあるもの(非自己)にさらされる場所で、そのため免疫システムを張り巡らせて体を守っているのです。
しかし口から取り入れたものをすべて害のあるもの(非自己)として排除してしまうと栄養をとることができません。そこで「経口免疫寛容」といって口から入った食品などの体の維持に必要な成分には過敏な免疫反応を起こさない抑制作用がはたらくのです。
免疫療法とは
免疫寛容を起こしてアレルギー症状を抑制するような治療方法を「免疫療法」と呼びます。
花粉症向けの免疫療法として注目されているのが、2014年から保険適用になった「舌下免疫療法」です。
シダトレンというスギ花粉のアレルゲンエキスを、毎日1回舌の下にたらします。やり方は簡単で自宅で服用できますが、最低でも2年から3年継続する必要があります。治療を開始できる時期はスギ花粉が飛び始める前の6月から12月。ちょうど今頃です。
また、研究開発段階のものに「スギ花粉米」があります。これはスギ花粉のアレルゲンを安全性を高めた形に改変して遺伝子組換え技術でお米に蓄積したものです。お米は腸まで消化されずに届くという機能を備えているため、腸の免疫に作用しやすく、短期間食べるだけで免疫寛容が起こると期待されています。
熊田プウ助さん、お年寄りの免疫寛容はちょっとせつないけど、免疫寛容って大切なんですね。的を得たつぶやき、参考になりました。ありがとうございました!