ポリフェノールは、植物がもつ苦味や渋味、色素の成分で、健康によいと近年大変注目されています。そのポリフェノールのひとつがロスマリン酸で、シソ科のローズマリー、シソ、レモンバームなどに多く含まれています。
ロスマリン酸は花粉症による鼻炎症状を抑えたり、認知症の原因といわれえるアミロイドβの脳への蓄積などを抑制して神経細胞の死滅を防ぐ作用があることが、臨床試験などで明らかとなってきました。
東京新聞によると、シソで抗アレルギー作用や認知症予防に期待されるロスマリン酸の含有量を増やすことに、千葉大の環境健康フィールド科学センターが成功したそうです。
この研究は、千葉大環境健康フィールド科学センターの植物工場でシソを蛍光灯で培養液栽培する際、光の強さと、培養液の濃淡をそれぞれ三段階ずつ変えて、ロスマリン酸の量がどう違ってくるかを比較したもの。
身近な食材の青ジソと、医療に使われる薬用の赤ジソで実験したところ、いずれのシソも蛍光灯の光が強く、培養液の濃度が低いほど、ロスマリン酸の含有量が多くなる傾向が確認できました。
天候に左右されない植物工場でシソを栽培することが、意図的にロスマリン酸を増量できる要因にもなっています。
この研究をチームの中心で携わった千葉大講師の加川夏子さんと、中国出身の特任助教・魯娜(るな)さんは、「研究成果を高品質な機能性ハーブや薬用植物の生産に役立てていきたい」といっています。
なお、研究成果はスイスの科学雑誌に5月に発表されました。