英国はこの時期花粉症シーズンのピークを迎えている。日本とは異なり、スギよりイネ科雑草が原因の花粉症が一番多いからだ。ちなみに米国はブタクサが原因花粉のメインだ。
そんな折、ぜんそく患者向け情報サイトの「asthema UK」がアレルギー患者がお酒を飲むのであればワインやビールのような醸造酒よりもジンやラムなどの蒸留酒を選ぶ方がいいという研究を発表したと、英メディアが一斉に報じた。
asthma UKの研究によると、お酒にはアレルギー反応を引き起こすヒスタミン成分が含まれているため、通常飲酒はアレルギーの症状を悪くしてしまう。しかしアルコールを飲むのであれば、ワインやビールのような醸造酒よりジンのような蒸留酒の方がヒスタミン成分の含有量が少ないためアレルギー症状が軽くてすむ、というのだ。
複数の英メディアはこの発表を受けて、アレルギー反応のひとつである花粉症をひきあいに「花粉症はジントニックを飲んだら症状が軽くなるかもしれない」「花粉症の人はお酒を飲むならジントニック」などと盛り上がった。
ところが、だ。これに疑問を持ったメディアもあった。ハフポストUKである。
ハフポストUKの記者はAsthma UK の内部ドクターに直撃した。
すると、Asthma UKのドクターは、
「お酒を飲むと花粉に過敏になるから、花粉飛散が多い時はお酒は避けるべきだね」
えっ?
どうやら、Asthma UKのドクターがぜんそく患者の人はヒスタミン成分の含有量がワインやビールより少ないジンやウォッカの方がお勧めだと言ったことが、メディアに花粉症患者向けの話に応用されてしまったようなのだ。
確かにぜんぞく患者の80%の人は花粉症も患っているという。しかし、ぜんそくと花粉症に明確な関連性は証明されていないにもかかわらずだ。
ちなみに、Asthma UKのドクターはワインのような防腐剤が入っているお酒はぜんそくのトリガーになるので注意だが、花粉症ではそれはあまり心配する必要はなさそうだと、付け加えた。
また、ハフポストUKの記者は、ネットで My Web Doctor というサイトを運営している医師にも確認をした。この医師は、確かに体の内部で発生するヒスタミンはアレルギーの原因であるが、食べ物に含まれるヒスタミンを口から取り入れることでアレルギーを発症するという説に厳密な科学的根拠があるかわからないという。
ハフポストの記事をみるとジントニック好きの人にはちょっと残念な話だったが、ぜんそくや花粉症などのアレルギーに悩む人は自分の症状や体調などを考慮して適切に飲酒すべきということに、どうやら変わりはなさそうだ。