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監修伊藤潤先生(順天堂大学大学院 医学研究科 呼吸器内科学 准教授/国立病院機構相模原病院 臨床研究センター客員研究員)© 2018 伊藤潤

アスペルギルス アレルギー |【花粉症クエスト】アレルギー辞典

Aspergillus fumigatus :コウジカビ

アスペルギルス

感染症も起こす怖いカビ

  • 他のカビと違って高温でも増えます。
  • ぜんそく患者にとりついて重症のアレルギー症状を起こすことがあります。
  • アレルギーだけでなく、感染症として病気を起こすこともあります。

生息地生活環境に広く分布
注意する時期一年中
主なアレルゲンAspf1 (マイトリジン), Asp f 2 (フィブリノゲン結合蛋白《たんぱく》), Asp f 3 (ペルオキシソーム蛋白)

何が原因?

アスペルギルス(Aspergillus:コウジカビ)という糸状菌です。アスペルギルスは約200種が確認されていますが、この中で一番強いアレルギーを起こすのがアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)です。アスペルギルスは他のカビとちがって35℃以上の環境でも増えることができ、30℃以上になると増えやすくなります。生活環境のどこにでもいますが、乾燥した環境でも、湿度の高い環境や素材にも多く認められます。主なアレルゲンはAsp f 1(マイトジリン)やAsp f 3で、マイトジリンはアスペルギルスが作り出す細胞毒性をもったタンパクです。

Point! 糸状菌とは

糸状菌とは菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成されているものの総称。糸状菌のうち、キノコとよばれる大型のものは食用に用いられる。糸状菌の中にはカビとよばれるものもあるが、アレルギーなどの病気や食品の変質などの害を起こすものばかりでなく、麹を作る「ニホンコウジカビ」(*コウジカビの一種)のようにアレルギーを起こすわけではなく食品加工に利用する例も多い。

コウジカビの構造(Wikipediaより)

コウジカビ

キノコは糸状菌のひとつ
キノコ

アレルギーの特徴は?

アスペルギルスは喘息の患者にとりついてアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)(*)を起こしてさらに重いアレルギー症状を起こすことでも有名です。 ABPMの90%以上はアスペルギルスが原因なのでアレルギー性気管支肺アスベルギルス症(ABPA)と言われることの方が多いです。それ以外にもアスペルギルス自体が人間にとりついて病気を引き起こすこともあるからとても怖いカビなのです。

(*)ABPM:真菌(カビ)が下気道(気管、気管支、肺などの総称)に定着し、これに対して気管支喘息をはじめとするアレルギー反応を繰り返す疾患のこと

Asp f 1とAsp f 2の両方ともをアレルギー検査するとABPAの診断率が上がるという報告があります。

Point! 感染症とは

細菌、ウイルス、カビ、虫などのバイキンが身体の中へ侵入して増殖し、咳や発熱、下痢などの症状を起こすことを言います。インフルエンザもそのひとつ。人から人に感染するタイプと、動物や土など人以外のものから感染するタイプがあります。

対策は?

ABPAになってしまったらステロイドの薬を内服をしないと病状を抑える事ができません。抗真菌薬(イトラコナゾールやボリコナゾール)を併用する事もあります。

Point! 喘息(気管支喘息)とは

喘息は空気の通り道(気道)に炎症が続き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなり、そのせいで咳や痰が出て、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴って息苦しくなることを繰り返す病気です。原因はチリダニやハウスダスト、ペットのフケ、カビなどのアレルギーによることが多いのですが、その原因物質が特定できないこともあります。日本では子供の8~14%(*1)、大人では9~10%(*2)が喘息と報告されています。高年齢で発症する方もいます。成人喘息患者を10年以上の長期に経過観察しているとアスペルギルスの特異的IgE陽性率が上昇するという報告もあります。(*3)

*1: 赤澤 晃 ガイドラインの普及効果QOLに関する全年齢全国調査に関する研究報告書 2008年
*2: Fukutomi Y.  Int Arch. Allergy Immunol 2010

*3: 渡井 健太郎 Allergy 2018

(監修者)伊藤潤先生のプロフィール

順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 准教授 / 病棟医長 兼任 国立病院機構相模原病院 客員研究員

医学博士。呼吸器、アレルギー、総合内科の専門医資格を持っており、主に喘息やアレルギー疾患の治療と研究を行っている。

  • 2002年3月 東邦大学医学部卒業
  • 2002年4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院 内科臨床研修医
  • 2005年4月 順天堂大学呼吸器内科入局
  • 2011年4月 順天堂大学医学部大学院博士課程卒業
  • 2012年4月 越谷市立病院呼吸器内科 医長
  • 2012年7月 国立病院機構相模原病院 医員>
  • 2014年9月 順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 助教
  • 2021年6月 順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 准教授

東邦大学医学部在籍中は美術部に所属。2009年から2019年まで日本免疫学会主催のイベント「免疫ふしぎ未来」のポスター原案を手掛けている。

日本免疫学会主催のイベント「免疫ふしぎ未来」のポスター2019年

(日本免疫学会HPより)

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