抗原決定基(エピトープ)とは?
抗原物質の一部です
- 抗体が認識する抗原の一部を「エピトープ」と呼びます。
- 一つの抗体は一種類のエピトープとしか結合できません。
- 熱を加えると変性するエピトープもあります。
抗原決定基(エピトープ)とは?
エピトープ(epitope)とは抗体が認識する抗原の一部のこと(*)です。
*アレルギーを引き起こす原因物質を「抗原(アレルゲン)」と呼び、これとくっつくものを「抗体」といいます。
一つの抗体は一種類のエピトープとしか結合できません。一方で抗原の方は通常その分子内に複数のエピトープを持っています。
線状エピトープ(連続エピトープ)は連続するアミノ酸配列によってできています。構造的エピトープ(不連続エピトープ)はタンパク質の折りたたみなどによって構造的に近くになっている部分が抗原として認識されています。
タンパク質は熱を加えると変性するので、構造的エピトープが原因の場合には抗体が結合しなくなり、アレルギーを起こさなくなることがあります。
しかし、線状エピトープの場合は熱を加えても変性しないために抗原性が残ったままになります。
Point! 果物アレルギーは加熱すると大丈夫?
果物を食べると口がイガイガしたり腫れたりする「口腔アレルギー症候群」(花粉食物アレルギーともいう)のアレルゲンは加熱すると分解され、ジャムや缶詰は症状が出ないことが多いです。ただし、リンゴやモモの場合は加熱された食品でも症状が出てしまうので、ご注意ください。
Point! スギ花粉米は改変されたエピトープが入っている
食べてスギ花粉症対策ができると実用化が期待されている「スギ花粉米」。その花粉米は改変されたスギ花粉アレルゲンのエピトープが遺伝子組換えでお米に蓄積されています。
スギ花粉米には2種類ありますが、そのうちのひとつ「スギ花粉ペプチド含有米」(*以前は「スギ花粉症緩和米」と呼ばれていたもの)は、スギ花粉アレルゲンのエピトープのうち、主要な7つを連結したペプチド(7Crpと呼ぶ)を発現させたお米です。
*ペプチドとは2個以上のアミノ酸が結合したもので、たんぱく質より小さいもの
7Crpはアレルゲン全長ではなく部分的なものなので、スギ花粉のIgE抗体との反応性は低く、よって安全性が高く副作用が起こりにくい一方、患者さんによっては効果が得られない場合もあると考えられています。
農研機構の説明会スライドを撮影
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(監修者)伊藤潤先生のプロフィール
順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 准教授 / 病棟医長 兼任 国立病院機構相模原病院 客員研究員
医学博士。呼吸器、アレルギー、総合内科の専門医資格を持っており、主に喘息やアレルギー疾患の治療と研究を行っている。
- 2002年3月 東邦大学医学部卒業
- 2002年4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院 内科臨床研修医
- 2005年4月 順天堂大学呼吸器内科入局
- 2011年4月 順天堂大学医学部大学院博士課程卒業
- 2012年4月 越谷市立病院呼吸器内科 医長
- 2012年7月 国立病院機構相模原病院 医員>
- 2014年9月 順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 助教
- 2021年6月 順天堂大学医学部呼吸器内科学講座 准教授
東邦大学医学部在籍中は美術部に所属。2009年から2019年まで日本免疫学会主催のイベント「免疫ふしぎ未来」のポスター原案を手掛けている。
(日本免疫学会HPより)
2018年5月には、アレルギー検査結果を医師が患者さんにわかりやすく簡潔に説明するための本『アレルギー検査のミ・カ・タ』を上梓した。
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