花粉症向けの医療用医薬品で2016年11月に発売になったビラノアとデザレックスは、利き目がよく、眠気が少ない、また1日1回という服薬回数の点からも評価が高く、人気が集まっています。
2021年12月10日には、水なしで口の中で解ける「ビラノアOD錠20mg」が発売されました。
ここではビラノアとデザレックスとはどのようなタイプのお薬なのか概要や特徴についてご説明します。
*【2023年1月2日】2022年4月1日からの「2022年度薬価改定」に対応しています。
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1.ビラノア・デザレックスとは
ビラノア、デザレックスとも2016年11月に国内で発売された第2世代抗ヒスタミン薬です。
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹(じんましん)、皮膚疾患に効くとされています。
2020年12月10日には、水なしで口の中で解ける「ビラノアOD錠20mg」が新発売されました。もちろん水と一緒に服用することも可能で、効果は通常の錠剤と同等です。
ビラノア、デザレックスとも、病院で処方される医療用医薬品のみで、市販薬(スイッチOTC医薬品)はありません。(2023年1月2日時点)
●ビラノア
- ・製品名は「ビラノア錠」、一般名は「ビラスチン」
- ・有効成分:1錠あたりビラスチン20mg
- ・用量・用法:15歳以上に1日1回1錠を空腹時に服用(空腹時とは食前1時間前、食後2時間後以降)
- ・薬価:1錠61.9円(2023年1月2日時点)
- ・市販薬:なし
- 「ビラノアOD錠20㎎」の価格も1錠61.9円(2023年1月2日時点)
●デザレックス
- ・製品名は「デザレックス錠」、一般名は「デスロタラジン」
- ・有効成分:1錠あたりデスロラタジン5mg
- ・用量・用法:12歳以上に1日1回1錠、任意の時間に服用可
- ・薬価:1錠51.7円(2023年1月2日時点)
- ・市販薬:なし
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2.(特徴)強さや眠気は?
・ビラノア
●効き目が速く強い
ビラノアは効き目が速い、すなわち最高血中濃度に速く到達することが特長です。
個人差はあるものの、効き目の強さはアレグラよりも強くザイザルとほぼ同程度とも言われています。
グラフの下の薬剤の方が速効性に優れている(効き目が強いと感じやすい)とされる
●空腹時服用でないと効果発揮しない
ただし、食後に服用すると約40%も効果が低減します。用法の注意にもあるように空腹時(食前1時間前、食後2時間後以降)に服用しないと効果が存分に発揮されません。
●眠くなりにくい、車の運転の禁止や注意がない
眠気の出にくさは、アレグラと同等かそれ以下とのデータがあります(*)ので、眠気の副作用を気にしなくてよい薬です。自動車運転等への注意喚起がありません。
(*)H1 受容体占拠率が現在国内で販売されている抗ヒスタミン薬の中で最も少ない(=眠気が少ない)と評価されている
●安い
1日1回服用で1日あたりの薬価は61.9円。アレグラが1日2回服用で1日あたり薬価が83.2円、ザイザルが1日1回服用で1日あたりの薬価が66.2円であることからみて、ビラノアはコストパフォーマンスが良い薬といえるでしょう。(薬価は2023年1月2日時点)
・デザレックス
●クラリチンの進化系
デザレックスの成分デスロタラジンは、人気の花粉症薬「クラチリン」の主成分ロタラジンの進化系です。誰にでも安定的に効果が発揮できるように改変されていて、クラリチンよりも速く確実に効果が発現します。
●効果の持続性が高い
デザレックスは効果の持続性が高いことが特徴です。ビラノア同様に服用回数が1日1回ですみます。
グラフの上の薬剤の方が持続性に優れているとされる。
●効き目はビラノアと同程度かやや弱いか
ビラノアとの効き目の強さの比較調査では、ビラノアの方が強かったという結果も、同程度だったという結果も報告されています。
●いつ飲んでもいい
ビラノアは空腹時に飲まなければ効果が十分に発現されませんが、デザレックスには食事による服用制限はありません。その点はビラノアより便利な薬といえるでしょう。
●眠くなりにくい、車の運転の禁止や注意がない
クラリチンの進化系だけに、眠くなりにくい特長があります。車の運転に関する注意事項もありません。
●安い
1日1回服用で1日あたりの薬価は51.7円。ビラノアが1日1回服用で1日あたりの薬価は61.9円なので、コストが安さが特長のひとつです。
3.効き目と眠気の比較
ビラノアもデザレックスも1日1回の服用で効果が持続し、アレグラやクラリチンと比較して眠くなりにくさで負けていない点が大きな魅力です。
効き目の強さはアレグラよりも強くザイザルと同程度という使用者の評価もあることから、効き目と眠さのバランスがかなり良い薬と期待できます。
また、なんといっても価格が安いことが魅力です。
すでに発売開始から1年以上たっているので、長期処方が可能になっています。
昨シーズンも多く処方されましたが、2022年シーズンでもさらに多くの患者さんに処方されると予想されます。
【ビラノア・デザレックスの特徴まとめ】
- 1日1回服用(ビラノアは空腹時、デザレックスは食事制限なし)
- 眠くなりにくい
- 効き目が比較的強い(速い)
- 価格が安い
- 1ヶ月など長期処方が可能
- 後発品(ジェネリック)はない
- 同じタイプの市販薬はない
なお、ビラノア、デザレックスとも、現時点では処方薬のみで、市販薬は販売されていません。(2023年1月2日時点)
名称 | 1日あたり薬価 | 後発品有無 |
---|---|---|
デザレックス | 51.7円 | なし |
ビラノア | 61.9円 | なし |
ザイザル | 66.2円 | あり |
アレグラ | 83.2円 | あり |
*アレグラのジェネリック商品(後発品)は価格が約半分程度です。
*ザイザルの後発医薬品(ジェネリック)は2020年6月より販売開始されました。
主な第2世代抗ヒスタミン薬の効き目と眠気の比較(花粉症クエスト編集部調べ)
4.新治療「ゾレア」登場!
2020年シーズンから、花粉症の重症患者向けに、皮下注射による新しい治療法「ゾレア」がスタートしました。
ゾレアはすでに気管支喘息やじんましん向けに使用されている薬ですが、花粉症向けに世界で初めて適用可能になりました。
ゾレアの詳しいことは、以下をご覧ください。
スギ花粉症の新治療「ゾレア」とは?効果・副作用や対象者、薬の費用など日医大・大久保公裕教授がやさしく解説
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コメント
ジルテック(コンタックZ)が効きません。ビラノアって市販されているのか知りたかったのに、肝心のこの情報がないので残念です
コメントありがとうございます。
ビラノアは2016年11月に処方薬として販売され、2017年12月から長期処方が可能になりましたが、まだ市販薬はでていません。
ご指摘いただいた点、記事に追記いたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
花粉症クエスト