fbpx

喘息と思ったらイネ科やカバノキ科花粉症だった?子どもの舌下免疫療法で小児喘息を予防?~相模原病院・谷口先生に聞く(後編)

喘息と思ったらイネ科やカバノキ科花粉症だった?子どもの舌下免疫療法で小児喘息を予防?~相模原病院・谷口先生に聞く(後編)

「シラカバなどのカバノキ科花粉症はブナ、コナラ花粉でも反応し、北海道や長野だけなく東京や神奈川でも患者が増加。症状が咳だけで喘息と間違われることもよくある」。

「子どのときにスギやダニの舌下免疫療法を行うとマルチアレルギーを防ぎ小児喘息などになりにい」。

国が指定するアレルギー疾患中心拠点病院である国立病院機構・相模原病院臨床研究センター。そのセンター長である谷口正実先生の「室内アレルゲン」をテーマとしたご講演(*1)の中から、ここでは後編として、花粉症の原因アレルゲンやそれぞれの症状の特徴、免疫療法のメリットについてのお話をご紹介します。

➡前編では成人喘息の原因アレルゲンやその対策法に関するお話をご紹介しました。『前編』はこちらをご覧ください!

なぜ増える?大人の喘息!ダニ、ペット、カビ、虫など室内アレルゲンの特徴や対策法は?~相模原病院・谷口先生に聞く

なぜ増える?大人の喘息!ダニ、ペット、カビ、虫など室内アレルゲンの特徴や対策法は?~相模原病院・谷口先生に聞く(前編)

1.花粉症の原因アレルゲンとは

・イネ科やカバノキ科花粉症は喘息と間違えることも

成人喘息 鼻炎患者での重要吸入アレルゲン

「花粉症といえば春のスギ・ヒノキ花粉、初夏から秋にかけてのイネ科花粉、ブタクサなど秋のキク科花粉は有名ですが、見落とされがちなのが『カバノキ科花粉』です」と、谷口先生は強調します。

カバノキ科のハンノキやシラカバは北海道や長野県に多く生息し、それらの地域ではカバノキ科花粉症になる患者さんが多くいます。一方、それ以外の地域ではカバノキ科花粉による花粉症になることはほとんどないと思われがちです。しかし、

「カバノキ科のハンノキやシラカバと、ブナ科のブナ、コナラの花粉とは共通抗原性があります。どんぐりが成っている木がブナやコナラですが、公園や小さい山があるところには必ず生えています。神奈川にもコナラの木は多く、カバノキ科花粉症の人は増えているんですよ」。

コナラ

コナラの写真 ウィキペディアより

また、谷口先生は、

「スギ花粉症の患者さんのうち3分の1の人がカバノキ科花粉にも陽性で、最近ではカバノキ科花粉症の増加率が一番高い」とも。そして、

「カバノキ科花粉症のつらい点は、果物アレルゲンと共通性が多くあり、モモなどの果物を食べられなくなってしまうことです」と指摘します。

Point! 果物アレルギーとは

ある果物を食べた直後に、唇や舌、口の中が腫れたり、かゆみやイガイガする感じがあらわれたりする症状を「果物アレルギー」または「口腔アレルギー症候群(OAS)」といいます。患者さんの多くは花粉症をともないますが、花粉と果物のアレルゲンのたんぱく構造に似ている部分があるためです。

花粉と似たアレルゲン構造を持つ果物や野菜

・イネ科やカバノキ科花粉の症状

スギ・ヒノキ花粉症での主の症状は『くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ』ですが、谷口先生は、
「イネ科やカバノキ科花粉症の場合には、そのような花粉症の典型的な症状が出ずに、咳だけの症状の人もいて喘息とよく間違われやすい」

「春先のスギ花粉のシーズンに咳が出ているときには実は原因アレルゲンがスギでなくカバノキ科花粉だったり、毎年夏場に咳が出ている方はイネ科花粉アレルゲンが原因かもしれません。そのような場合にはカバノキ科やイネ科のアレルギー検査をしてみてください」と、アドバイスします。

➡何が原因かわからないときはアレルギー検査を!

花粉症検査

【花粉症検査】花粉症の検査の種類や内容は?どの科で受診?費用は?

2.免疫療法(減感作療法)のメリット

免疫療法(減感作療法ともいう)はアレルギーを治すことが可能な唯一の治療法です。

AITが有効な背景 

しかし、谷口先生によると、

「日本では有効なアレルゲンエキスがスギとダニしか手にはいりません。カビには効きません」。

「10年、15年ぐらい前までは、スギだけ、ダニだけにアレルギー反応を示す患者さんがいましたが、今はマルチアレルギーの患者さんの方が多くなっています。アレルギーの患者数が増えているだけでなく、1人の人が感作するアレルゲンの数が増えているんです」と、指摘します。

「だからこそ、アレルギーの発症を予防することが肝心なのですが、免疫療法を小さいうちに早くから行うと新しいアレルゲンに感作されにくい。例えば、スギやダニが原因のアレルギー性鼻炎に罹っても、幼稚園のときに免疫療法をやっていれば、その後小児喘息になりにくい。本来は小児にもっと免疫療法が普及してほしいんです。もしお子さんがスギやダニのアレルギーにお悩みで免疫療法を検討しているのであれば、早めに実行することをおすすめします」。

しかし、中には免疫療法を行っても効かないと感じる患者さんもいます。

「そういう場合にはたいてい、スギやダニ以外の他のアレルゲンに感作しているから」であり、「だからこそシンプルな感作の状態の時期に免疫治療をやるほうがよい」と、谷口先生は強調します。

減感作療法ができるアレルゲンエキス(薬)の種類数ですが、谷口先生によると、欧米では数えきれないぐらい、アメリカでは200種類以上ある一方、日本では14種類(*舌下免疫療法だけでなく、皮下免疫療法で使用できる薬の種類も含めた数)しかありません。

国がアレルギー疾患対策を重要だと位置づけるのであれば、現状唯一の根治療法である免疫療法で欧米と日本の間にこれだけ格差がある実状を早く解決してほしいものです。

➡12歳以下でも使用できる新しい舌下錠が2018年6月末に新発売!

花粉症向け舌下免疫療法の新薬「シダキュア舌下錠」、2018年6月29日販売開始

成人も小児も使用可!スギ花粉症向け舌下免疫療法の新薬「シダキュア舌下錠」、6月29日販売開始!

3.よくある質問に谷口先生のアドバイス

講演の最後は、谷口先生がいろいろな場面よく質問される事項についての説明がありました。

相模原病院 谷口正実先生 講演 よくある質問項目

Q:空気清浄機は効果がありますか?

最新で高機能な清浄機を寝室の枕元あたりに設置すると一定の効果は期待できますが、喘息や鼻アレルギーに劇的な効果は期待できません。

Q:加湿器は使ってもいいですか?

インフルエンザ対策のためなどに使いたいのはわかりますが、カビ・ダニとも湿度が高いと確実に増えます。よって、カビやダニのアレルギーがある方はできるだけ使わないほうがいいでしょう。

Q:防ダニグッズは効果がありますか?

防ダニグッズの中でも、効果検証などがきちんと行われ、品質の高い商品であれば、効果があります。気候的に日本は欧米よりダニが多い国ですので、上手に活用してください。

➡谷口先生が監修したアレルゲンの本~アレルゲンのことをもっと詳しく知りたい方に!

身近なアレルゲンアマゾンで買う

あなたのまわりに潜む身近なアレルゲン―原因を特定して対処する ぜんそく・鼻炎患者さんのための本 

Q:エアコン掃除はどの程度やったらいいですか?

年に2回程度エアコン清掃業者に依頼して清掃してもらう方がいいのですが、経済的負担が大きい点が悩ましところです。エアコンメーカーさんには機械の構造的にカビ対策をどうにかならないかとお願いしています。フィルターのクリーニングだけでは正直意味がありません。

Q:どんなヨーグルトがアレルギーに効果がありますか?

ヨーグルトはアレルギー予防に効果があると思いますが、薬ほどの臨床試験のデータがなく、アレルギーに効くメカニズムが100%解明されていません。どんな種類のヨーグルトが効果的かまではわかりませんが、摂取しないよりは摂取する方がいいといえるでしょう。

➡花粉症に評判のヨーグルトはどれ?

花粉症に良いと研究結果がある乳酸菌が入っているヨーグルト

【花粉症対策】花粉症やアレルギーに効果が認められた乳酸菌が入っているヨーグルト

Q:ホコリに接する方がアレルギーになりにくいのですか?

1歳から1歳半ぐらいまでの間に土埃やペットに接する方がアレルギーの予防に効果があることは間違いありませえん。しかしいったんアレルギーになってしまうと、土埃やペットはアレルゲンとなってしまうので、避ける方がいいでしょう。

Q:喘息や鼻炎患者はどのように生活したらいいですか?

人間は動物であることを常に頭の片隅に入れておいてください。例えば、中央アフリカの原住民は素足で歩いた生活をしていますが、彼らはアレルギー、脳卒中、腰痛になりません。病気といえば感染症とケガぐらいです。
また、明治や江戸時代の生活様式をイメージしてください。彼らは平成時代の日本人と遺伝子はほぼ同じですが、アレルギーが発症しにくく、発症したとしてもひどくなりません。
つまり、昔ながらの生活をイメージし、部分的にでもそれを取り入れるとアレルギー予防になる生活ができると思います。

➡谷口先生の成人喘息のお話(前編)はこちら!

なぜ増える?大人の喘息!ダニ、ペット、カビ、虫など室内アレルゲンの特徴や対策法は?~相模原病院・谷口先生に聞く

なぜ増える?大人の喘息!ダニ、ペット、カビ、虫など室内アレルゲンの特徴や対策法は?~相模原病院・谷口先生に聞く(前編)

  • 谷口正実先生のプロフィール

1956年 生まれ

1981年 浜松医科大学卒業

1987年 浜松医科大学大学院卒業

1988年 藤枝市立病院呼吸器内科医長

1994年 藤田保健衛生大学 呼吸器アレルギー内科講師

1997年 米国バンダービルト大学肺研究センター研究員

1999年 国立相模原病院アレルギー科医長・気管支喘息研究室長

2008年 同内科系統合診療部長

2011年 同臨床研究センター病態総合研究部 部長

2014年 同臨床研究センター センター長
兼任 藤田保健衛生大学 順天堂大学連携大学院客員教授

  • (*1)「相模原アレルギーの会」主催の講演会(2018年6月3日実施)

NPO法人「相模原アレルギーの会」とは、前身の「国立相模原病院アレルギー・喘息患者会」から引継ぎ、平成22年にNPO法人化。慢性病であるアレルギー性疾患および呼吸器疾患をもつ患者の会であり、患者および家族の生活の質(QOL)の向上を目的に、アレルギー医療に関する講演会・相談会・勉強会等を定期的に開催し、アレルギー医療に関する正しい情報を年4回発行する会報を通じて提供しています。(ウェブサイトはこちら http://sagamihara-allergy.org/ )