11月、12月、1月、2月の時期は花粉症でみると、『秋の花粉症の名残り』と『春の花粉症シーズンの始まり』の2つのシーズンが交差するやっかいなシーズンといえるでしょう。
そこで今回は、やっかいな冬の花粉症対策に、「花粉症クエスト」が実施したアンケート調査のランキングも参考にしながら、おすすめ花粉症市販薬をピックアップしてご紹介します。
➡つらくて困ったときはドラッグストアの花粉症薬
【2022年版】ドラッグストアで買う花粉症飲み薬(市販薬)の選び方とランキング~処方薬と同じタイプ・服用回数・眠気・効き目
目次
1.冬の花粉症の原因は?
11月から2月にかけて花粉症の原因となる花粉の種類は主に以下のものです。
初冬から冬にかけて ➡ スギ、イネ科、ブタクサ、ヨモギ
冬から晩冬にかけて ➡ スギ、ハンノキ、ヒノキ、イネ科
スギ花粉は春の花粉症の代名詞ですが、11月から少量ながらも飛散しており、1月下旬からピークとなる3月に向けて急速に飛散量が増えていきます。
【2月から4月】の花粉飛散予測はこちら↓をご覧ください。
2.冬の花粉症薬の選び方
・冬の花粉症対策のポイント
冬の花粉症の特徴は、
●初冬~冬 ➡ ブタクサ、イネ、カナムグラ、ヨモギといった秋の花粉症の名残と、少量ながらもスギ花粉飛散の始まり
●冬~晩冬 ➡ スギ花粉の本格飛散が始まる。ハンノキやイネ科が飛ぶことも。春の花粉症の始まり
です。
そのため、冬の花粉症対策のポイントは、
●秋の花粉症の名残やもう発症したスギ花粉症に、効き目が強いタイプの花粉症薬を選ぶ
●2月以降の春の花粉症ピークに備えて、予防目的も兼ねたタイプの花粉症薬を選ぶ
それぞれのタイプの人気でおすすめの花粉症市販薬をピックアップしてご紹介する前に、花粉症の症状が起こるメカニズムを理解しておきましょう。
・花粉症のメカニズムとは
①体内に異物(花粉)が侵入すると免疫のしくみがそれを排除するか受け入れるか判断します。
このようにして花粉症が発症するのですが、この流れの中のどのポイントに作用するかで花粉症薬のタイプがわかれます。
・花粉症薬のしくみ
上記のメカニズムの③と④をもう一度確認しましょう。
花粉症などのアレルギー症状の発症には、アレルギー原因物質ヒスタミンなどが絡んでいます。そのヒスタミンが放出されないようにすること、もしくは、すでに放出されてしまったヒスタミンが炎症を起こさないようにブロックすることができれば、症状が抑えらえるはずです。
ヒスタミンが放出されないようにすることを「抗アレルギー作用」、放出されたヒスタミンをブロックすることを「抗ヒスタミン作用」と呼びます。
・花粉症薬を選ぶポイント
以上のことから、花粉症を選ぶポイントをまとめると、
- 起こってしまった症状を鎮めたいときには、「抗ヒスタミン作用」が強い花粉症薬
- 症状が発症するのを抑えたいときには「抗アレルギー作用」のある花粉症薬
「抗ヒスタミン作用」の薬の中には「抗ヒスタミン成分」と呼ばれる薬が含まれていますが、抗ヒスタミン成分には、「第一世代抗ヒスタミン薬」と「第二世代抗ヒスタミン薬」があります。
第二世代抗ヒスタミン薬は第一世代より新しく開発された薬で、第一世代の薬にあった眠気などの中枢神経抑制作用や、口渇や胸やけなどの抗コリン作用などの副作用が少なくなっています。
それでは冬の花粉症におすすめのタイプ別花粉症市販薬をピックアップしてご紹介しましょう。
3.効き目が強いタイプの市販内服薬(鼻炎薬)ランキング
処方薬「タリオン」の市販薬は2020年12月10日に発売になりました。対象は15歳以上です。要指導医薬品なので、薬剤師さんのいる薬局でお求めになれます。詳しくは以下をご覧ください。
【花粉症薬】タリオンの市販薬、販売開始!どんな薬?どこで買える?効き目や眠気の比較は?
- 10錠:メーカー希望小売価格 1,280円(税抜) 1錠128円、1日あたり256円
- 30錠:メーカー希望小売価格 2,400円(税抜) 1錠80円、1日あたり160円
それではランキングをみていきましょう。
1.「アレグラFX」
「アレグラFX」は第二世代抗ヒスタミン薬の中で、効き目の強さと眠くなりにくさのバランスがよくとれていて、服用しても車の運転が禁止されていません。「花粉症クエスト」アンケート調査でも使用実績ダントツNo1人気の花粉症鼻炎薬です。
「アレグラFX」の主成分は第二世代抗ヒスタミン成分「フェキソフェナジン塩酸塩」が1錠に60㎎入っています。病院で処方される薬「アレグラ錠」にもフェキソフェナジンが同量60㎎入っていますので、花粉症などのアレルギー性鼻炎への効能効果という点では市販薬も処方薬も同じです。
用法・用量:成人(15才以上)、1回1錠、1日2回朝夕に服用
また、アレグラはフルーツジュースと飲むと効き目が弱まるとされているので、注意してください。
➡アレグラの効き目が減少?
人気のアレルギー性鼻炎薬「アレグラ」はフルーツジュースと一緒に飲むと効き目が減少する?米国では当り前?
【第2類医薬品】アレグラFX 28錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
2017年11月9日から小児用アレグラFX「アレグラFXジュニア」が新発売になりました。
フェキソフェナジンが1錠に30㎎含まれています。
用法・用量:
[7才~11才]➡1回1錠、1日2回朝夕に服用
[12才~14才]➡1回2錠、1日2回朝夕に服用
アレグラFXジュニアは、2021年11月から第2類医薬品に移行したので、薬剤師さんの確認のなしに、インターネット通販で購入できるようになりました。
■「アレルビ」
「アレルビ」は「アレグラFX」のジェネリック医薬品(後発医薬品)です。アレグラと同じ主成分「フェキソフェナジン塩酸塩」が1錠に60㎎入っていますので、アレグラFXとアレルギー性鼻炎の効能効果という点では同じと考えていいでしょう。違いは添加物などになります。
ジェネリック医薬品であるため価格が安めであることが魅力です。
用法・用量:成人(15才以上)、1回1錠、1日2回朝夕に服用
【第2類医薬品】アレルビ 56錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
2.「アレジオン20」
「アレジオン20」は第二世代抗ヒスタミン成分「エピナスチン塩酸塩」が1錠に20㎎が含まれています。処方薬でも「アレジオン錠20」として同成分が同量入っています。エピナスチン塩酸塩は、放出されたヒスタミンをブロックする作用(抗ヒスタミン作用)に加えて、ヒスタミンなどの原因物質の分泌を抑えたり(抗アレルギー作用)、発症している炎症の悪化を防ぐ作用も含まれています。
アレジオンは速効性と効き目の強さで人気の薬ですが、アレグラFXよりも眠くなりやすい傾向があります。
用法・容量:成人(15才以上)、1日1錠就寝前に服用
【第2類医薬品】アレジオン20 12錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
3.「コンタック鼻炎Z」と「ストナリニZ」
「コンタック鼻炎Z」と「ストナリニZ」のどちらにも第二世代抗ヒスタミン成分の「セチリジン塩酸塩(ジルテック)」が1錠に10㎎配合されてます。「ジルテック」は病院でも効き目が強い薬として処方される薬です。即効性があり、服用後まもなく効いてきます。
効き目が強い分、眠気の作用も強く、服用中に自動車の運転などは避けてください。アルコールは眠気の副作用をでやすくします。飲酒はできるだけ控えましょう。
「コンタック鼻炎Z」と「ストナリニZ」の違いは、製造販売メーカーの違いとお考えください。
用法・容量:成人(15才以上)、1日1錠就寝前に服用
【第2類医薬品】コンタック鼻炎Z 14錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
【第2類医薬品】ストナリニZ 14錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
4.「パブロン鼻炎カプセルSa」
「パブロン鼻炎カプセルSα」には第一世代抗ヒスタミン成分の「マレイン酸カルビノキサミン」が2カプセル中6㎎含まれています。
急にくしゃみや鼻水などの症状がでてしまったときに、速くよく効く薬ですが、第一世代抗ヒスタミン薬の中では眠くなりにくといわれるものの、眠気が起こりやすいことが難点です。
用法・用量:成人(15才以上)、1回1カプセル、1日2回12時間ごとに服用
5.「鼻炎薬Aクニヒロ」
「鼻炎薬Aクニヒロ」には第一世代抗ヒスタミン成分「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」が1日量(6錠)に6mg入っています。第一世代の抗ヒスタミン薬の特徴として、強い効き目のある一方、眠くなりやすく口が渇くという副作用があります。服用したときは車の運転を避けてください。
鼻炎薬Aクニヒロには鼻づまりに効果がある「塩酸プソイドエフェドリン」や、のど・鼻などの炎症を鎮める「グリチルリチン酸二カリウム」も配合されています。
用量・用法:成人(15歳以上)1回2錠1日3回、7歳以上15歳未満1回1錠1日3回
鼻炎薬Aクニヒロはパッケージの種類が沢山ありますので、薬局などで探すときにはご注意ください。
➡クニヒロとは?
コスパで人気の市販鼻炎薬「アレルビ」と「鼻炎薬Aクニヒロ」。どんなものかまとめてみた
4.予防目的も兼ねたタイプの市販内服薬(鼻炎薬)ランキング
1.「アレグラFX」
「アレグラFX」の主成分フェキソフェナジンは抗ヒスタミン成分でありながら、ヒスタミンが分泌されるのを抑える抗アレルギー作用も合わせて持っているので、花粉症の症状が起こるのを抑える効果も期待できます。眠くなりにくい特徴もあるので、予防目的の薬としても利用されています。
2.「アレジオン20」
「アレジオン20」に含まれる主成分エピナスチンもヒスタミンなどの原因物質の分泌を抑える抗アレルギー作用があります。クラリチンやアレグラFXよりも眠くなりやすいといわれますが、1日1回就寝前の服用なので日中は眠くなりにくいと感じる人もいるようです。
3.「クラリチンEX」
「クラリチンEX 」の主成分は医療用「クラリチン」のジェネリック医薬品(後発医薬品)「ロラタジン」で1錠に10㎎入っています。
クラリチン(ロラタジン)は第二世代抗ヒスタミン薬です。クラリチンは抗ヒスタミン薬としてヒスタミンが炎症を起こすのをブロックする作用がありながら、ヒスタミンの放出そのものを抑える抗アレルギー作用もあります。そしてもうひとつの特徴が眠くなりにくい点です。
そこで、クラリチンEXは症状がひどくなる前に予防目的でも利用するのに適している薬とされています。
用法・用量:成人(15才以上)、1日1回服用(毎日同じ時間帯)
2021年1月に、第2類医薬品に移行しました。その結果、薬剤師さんの確認なしに、ネットなどの通信販売でも購入できるようになりました。
*28日間服用する場合の価格例: 2,730円(税込)(2022年1月23日時点)
➡クラリチンEXとは?
人気のクラリチンEXとはどういう鼻炎薬?新製品クラリチンEX OD錠の特徴は?
●市販の花粉症鼻炎薬を効き目と眠気で比較●
花粉症クエスト編集部調べ
5.鼻づまりには鼻スプレー
鼻水だけでなく鼻づまりもおこり症状がひどいときには、鼻スプレー(点鼻薬)もおすすめです。
市販の花粉症薬の中でステロイド薬が含まれているタイプは鼻スプレーだけです。
■「ナザールαAR0.1%」
「ナザールαAR0.1%」には「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」というステロイド薬が100mL中に0.1g入っており、病院で処方される点鼻薬と同成分が同量入っています。鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状に効果的です。
抗ヒスタミン薬は配合されていないので、眠くなることはありません。血管収縮剤は入っていません。
18歳以上が対象で、1日朝夕2回。最大3か月間使用できます。(1日最大4回(8噴霧)まで使用してもかまいませんが、使用間隔は3時間以上おいてください)
ステロイドが含まれているので、長期にわたる使用はさけてください。
【指定第2類医薬品】ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用> 10mL ※セルフメディケーション税制対象商品
■「パブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>」
「パブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>」には、「ナザールαAR0.1」と同じアンテドラッグステロイド「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」が配合されています。ステロイド配合の点鼻薬で初めて薬剤が患部で「ジェル化」して、液だれしにくい設計になっています。
抗ヒスタミン成分や血管収縮剤は含まれていません。
通常、左右の鼻腔内に1日最大4回(8噴霧)まで使用してもかまいませんが、使用間隔は3時間以上おいてください。症状が改善すれば使用回数を減らしてください。症状が再び悪化した場合は、使用回数を増やしてもかまいません。1年間に3ヵ月を超えて使用しないでください。
「パブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>」の希望小売価格は1,380円(消費税抜)です。大正製薬お客様センターによると、中身の量の8.5gをmLに換算すると約8mLになります。「ナザールαAR0.1」は中身が10mLで希望小売価格が1,980円(消費税抜)です。実際の小売価格は店舗ごとに異なるので一概には言えませんが、「パブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>」の方が「ナザールαAR0.1」よりやや割安かもしれません。特に、液だれが気になる方にはその点でもおすすめですね。
【指定第2類医薬品】パブロン鼻炎アタックJL〈季節性アレルギー専用〉 8.5g ※セルフメディケーション税制対象商品 ×2 ※セルフメディケーション税制対象商品
➡つらい鼻炎にはレーザー治療も
花粉症のレーザー治療とは~鼻を焼く?痛み、効果、費用、種類、治療時期など
➡鼻づまりのひどい方にはステロイド入り鼻スプレーが効く
(2022年版)花粉症・鼻アレルギー向け「点鼻ステロイド薬」の違いや特徴~小児には?市販薬は?(アラミスト、ナゾネックス、エリザス、リノコ―ト、フルナーゼ)
6.目のかゆみと炎症に効く目薬
市販されている目薬(点眼薬)の中で、かゆみを抑える成分(抗ヒスタミン成分)などが市販薬として最大濃度配合されていて、かゆみと炎症によく効くとされているのが、
■「マイティア・アルピタットEXα」(クールタイプ)
■「マイティア・アルピタットNEXα」(マイルドタイプ)
■「ロートアルガード・クリアブロックZ」(クールタイプ)
■「ロートアルガード・クリアマイルドZ」(マイルドタイプ)
です。これらの点眼薬には以下の成分(1mL中)が含まれています。
- クロモグリク酸ナトリウム1%:ヒスタミンの放出を抑えてかゆみの発症を抑える【抗アレルギー作用】
- クロルフェニラミン塩酸0.03%:ヒスタミンをブロックしてかゆみを鎮める【抗ヒスタミン作用】
- プラノプロフェン0.05%:炎症を抑えて悪化を防ぐ【抗炎症作用】
- コンドロイチン硫酸エステルナトリウム0.5%:角膜を保護し潤いを与える【保護作用】
1回1~2滴、1日4回点眼して下さい。
【第2類医薬品】マイティアアルピタットEXα 15mL ※セルフメディケーション税制対象商品
2022年1月にアルピタット史上最強の7つの有効成分が配合された新商品が発売されました。アルピタットEXαと同じかゆみを抑える成分(抗ヒスタミン成分)が同量含まれています。
【第2類医薬品】マイティアアルピットEXα7 15mL ※セルフメディケーション税制対象商品
【第2類医薬品】ロートアルガードクリアブロックZ 13mL ※セルフメディケーション税制対象商品
■「アイフリーコーワAL」
「アイフリーコーワAL」は症状が軽いときから使用することで、花粉飛散ピーク時の症状を緩和する効果が期待できます。
病院の処方薬と同じアシタザノラスト水和物を配合した抗アレルギー作用のある目薬です。
1回1〜2滴、1日4回使用します。
【第2類医薬品】アイフリーコーワAL 10mL ※セルフメディケーション税制対象商品
➡目薬を効き目、コンタクト可否、爽快感の有無、妊婦や子ども用などで比較しました!
市販の花粉症目薬でおすすめはどれ?(効き目の強さ・コンタクト可否・妊婦や子ども用)~アルガード、アルピタット、アレルカットの比較
7.おわりに
この時期、突然に花粉症の症状が起こることがあり、そういうときに市販薬を上手に活用できるといいですね。もし市販薬を使っても症状が収まらないときや心配なときは、早めに医師や薬剤師に相談をしてみてください。
この症状、花粉症かな?とお悩みのときには以下の記事を参考にしてみてください。
➡花粉症の症状を詳しく解説
また、2020年シーズンから注目の新しい治療法が始まりました。
・新治療「ゾレア」登場!
2020年シーズンから、花粉症の重症患者向けに、皮下注射による新しい治療法「ゾレア」がスタートしました。
ゾレアはすでに気管支喘息やじんましん向けに使用されている薬ですが、花粉症向けに世界で初めて適用可能になりました。
ゾレアの詳しいことは、以下をご覧ください。
スギ花粉症の新治療「ゾレア」とは?効果・副作用や対象者、薬の費用など日医大・大久保公裕教授がやさしく解説