中部大学 川本善之准教授、武田湖州恵准教授は、名古屋大学大学院 医学系研究科、愛知学院大学 心身科学部と共同で、イカスミにアレルギー抑制効果があることを発見しました。副作用の少ない花粉症などのアレルギー向け新薬開発が期待されます。
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1.イカスミとは
イカスミとは、イカが水中に排出する粘性の高い黒褐色の液体のこと。イカが捕まりそうになった時に噴射して逃れるために使われます。
イカスミのソース
その液体をソースにして様々なお料理に利用されていますが、一番有名なものは「イカスミパスタ」や「イカスミリゾット」。最近ではケーキなどのお菓子にも利用されることがあります。
2.イカスミの黒色はメラニン
イカスミの黒い色素の主成分はメラニンです。
メラニンと聞くと美肌を心がける女性の中にはドキっとする人もいるでしょう。メラニンは、動物の皮膚や毛に含まれる黒色の色素で、皮膚への光の吸収を促し、増えるとシミやほくろの原因になります。一方で紫外線を遮って肌を守る効果もあります。
3.メラニンに抗アレルギー作用
イカスミはメラニンの表面をたんぱく質が覆った構造をしています。川本先生ら研究チームは、このメラニンに注目し、実験を行いました。
メラニンを溶かした液体に浸したマスト細胞(*1)と、浸さないマスト細胞を用意し、両方の細胞にアレルゲン(*アレルギーの原因物質)を加えると、メラニンに浸されたマスト細胞から出る炎症物質の量が顕著に少なかったことが判明。顕微鏡で観察すると、メラニンが細胞表面を部分的に覆い、アレルゲンとの結合を妨げていたことが分かったのです。
(*1)免疫反応に関係する細胞。皮膚や粘膜など全身の組織に広く分布する細胞で肥満細胞ともいう。花粉症の症状が起こるメカニズムは以下の図を参照ください。
実験ではイカスミから抽出したメラニンと人工合成したメラニンを使用しましたが、川本先生によると「基本的に(イカスミ由来でなくとも)メラニンであればマスト細胞の活性化を抑制できると考えています」。
Point! 花粉症が起こるメカニズム
身体の中に花粉アレルゲンに対するIgE抗体ができると、IgE抗体はマスト細胞にくっついて待機します。(①~④)、
再び花粉アレルゲンが体内に侵入しIgE抗体に付着すると(⑤)、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が放出されます。(⑥)
それらが神経などを刺激して症状が起こります(⑦)
4.新薬開発へつなげたい
今回の検証結果は細胞実験と動物実験によるもので、ヒトがイカスミを食べて実際に花粉症を含むアレルギーを抑制できるかどうかは、今後の検証課題のひとつであり、その過程の中で、効果が期待される目安量が算出されていくことになります。
研究チームは、既存の花粉症予防薬には眠気などの副作用があるが、メラニンは食品にも含まれる天然物質なので、副作用は低いと予想される。今後、安全性を確認し、新薬の開発につなげたいと話しています。
5.イカアレルギーの人はイカスミにも注意
今回の報道を見て、実際にイカスミを食べて花粉症に効くか試してみようという人も出ていますが、川本先生は、「花粉症で、かつ、イカアレルギーの方もおられます。イカアレルギーの方はイカスミにも反応しますので、そうした方々は、イカスミを食べて花粉症に効くのかどうかを試してみないように」と注意を促しています。
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