2022年4月20日、農研機構(*1)は令和4年度の遺伝子組換えイネ「スギ花粉ペプチド含有イネ」の第一種使用等による栽培に関する説明会を開催しました。
2016年から東京慈恵会医科大学などと共同で行ったスギ花粉米に関する臨床研究をまとめた論文が、昨年、学術誌に発表され、現在は農研機構と民間企業が共同で、実用化を目指したプロジェクトを進めているそうです。
ここでは「スギ花粉米」とは何かをご説明し、説明会で報告された令和4年度のスギ花粉米栽培実験計画についてレポートします。
(*1)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の通称名
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1.スギ花粉米とは
「スギ花粉米」は、スギ花粉症の原因物質である2つのアレルゲンたんぱく質(Cry j 1 Cry j 2)を改変し、それを遺伝子組換え技術でPB-Ⅰとよばれる米の顆粒に導入、蓄積させたものです。改変したアレルゲンたんぱく質(改変型ペプチド)は2タイプあり、導入されたお米は、
- スギ花粉ペプチド含有イネ
- スギ花粉ポリペプチド含有イネ
と呼ばれています。
スギ花粉米に導入された改変型ペプチドは、スギ花粉のアレルゲンそのものではないため、スギ花粉米を食べても身体がスギ花粉と反応せずに免疫寛容(*2)を誘導でき、アナフィラキシーショックの危険性が低く、安全性の高い花粉症対策法になると考えられています。
説明会の資料を撮影
(*2)免疫寛容とは、特定の抗原(アレルギーの原因物質)でも安全なものと身体が認識した場合は免疫反応が働かない状態になること。
2.令和4年度のスギ花粉米の栽培実験計画
(1)新開発のペプチド含有米で栽培実験
令和4年度も、新たに開発された「スギ花粉ペプチド含有米」を用いて栽培実験を行います。
平成30年年度まで使用していた旧タイプのスギ花粉ペプチド含有米は、10年以上前に開発されたもので、新タイプは近年の国のガイドラインに沿うように再開発されました。
組換えの相違点としては、導入するお米の種類を「キアタケ」から「どんとこい」に変更したことなどです。
「どんとこい」は広い地域で栽培しやすく、味も良いタイプのお米とされています。
新・旧のスギ花粉ペプチド含有米の違い
説明会の資料を撮影
(2)ポリペプチド含有米の実験は無し
今年度も昨年度同様、「スギ花粉ポリペプチド含有米」の栽培実験は行われません。
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