農研機構(*1)は、2019年5月18日に令和元年度 遺伝子組換えイネの第一種使用等による栽培に関する説明会を開催しました。
ここではスギ花粉米とは何かをご説明し、説明会で報告された令和元年度のスギ花粉米栽培実験計画についてレポートします。
(*1)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の通称名
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1.令和元年度のスギ花粉米の栽培実験計画
(1)新開発のペプチド含有米で実験
スギ花粉米を開発した農研機構は、オープンイノベーション方式で研究機関などとともに実用化を目指した実験を行っています。
今年度は、昨年までのスギ花粉ペプチド含有米とは異なる新しい組換え米を用いて実験栽培を行います。
組換えの相違点としては、遺伝子組み換えに成功したかをスクリーニングするための目印として導入する遺伝子マーカーを、抗生物質抵抗性遺伝子から除草剤抵抗性遺伝子に変更したことです。
昨年までのペプチド含有米は10年以上前に開発されたもの。そこで、近年の国のガイドラインに沿うように新たなペプチド含有米を再開発しました。
また、導入するお米の種類を「キアタケ」から「どんとこい」に変更したことも相違点のひとつです。「どんとこい」は、広い地域で栽培しやすく、味も良いタイプのお米とされています。
昨年のスギ花粉ペプチド含有米との違い
令和元年度の栽培計画
(2)ポリペプチド含有米の実験は無し
今年度は、ポリペプチド含有米の栽培実験は行われません。
また、ポリペプチド含有米はペプチド含米よりも最近に開発されたため、新タイプの開発は今のところ予定されていないそうです。
2.スギ花粉米とは
スギ花粉米とは、スギ花粉症の原因物質であるアレルゲンを改変し、それを遺伝子組換え技術でお米の中のPB-Ⅰという顆粒に導入し、蓄積させたものです。改変したアレルゲンのたんぱく質には2種類あり、それぞれが導入されたお米を、
- スギ花粉ペプチド含有イネ
- スギ花粉ポリペプチド含有イネ
と呼んでいます。
スギ花粉米に導入された改変型ペプチドは、スギ花粉のアレルゲンそのものではないため、スギ花粉米を食べても身体がスギ花粉が入ってきたとは思わずに免疫寛容(*2)を誘導できるので、アナフィラキシーショックの危険性が低く安全性の高い花粉症対策法になると考えられています。
(*2)免疫寛容とは、特定の抗原(アレルギーの原因物質)でも安全なものと身体が認識した場合は免疫反応が働かない状態になること。
➡スギ花粉米のこれまでの歩みはこちらをご覧ください↓↓
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