(2022年版)春の花粉シーズンといえばスギやヒノキが代表的ですが、他にも花粉症の原因となる花粉が飛んでいます。
ここでは、3月、4月の花粉症の原因となる花粉の種類や飛散量予測、症状の特徴、その対策法などについてお伝えします。
監修:花粉症クエスト編集部 スタッフ(環境アレルギーアドバイザー)
参照:鼻アレルギー診療ガイドライン2020
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【2022年版】花粉症処方薬の効き目と眠気の比較や同じタイプの市販薬の有無~アレグラ、ザイザル、アレロック、タリオン、ビラノア、デザレックスなど
目次
1.3月、4月の花粉の種類
春の花粉症といえばスギ・ヒノキ、北海道中心にシラカンバですが、それ以外にも以下のような花粉が花粉症の原因となっています。秋の花粉症の代名詞ともいわれるキク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラはこの時期はほとんど飛ぶことはありません。
⇒冬の終わりから春:2月からスギ、ハンノキ、3月中旬頃からヒノキ
⇒春から初夏:北海道を中心にシラカンバ、全国的にイネ科
それでは、原因花粉の種類別、地域別に飛散予測を確認していきましょう!
●スギ
■2月、3月、4月のスギ地域別飛散予測
(飛び始め)
例年、バレンタインデーの前後から花粉が飛び始めます。その年の気象条件に左右されるものの、2月下旬から3月中旬にかけてピークを迎えます。
スギ花粉は1日の平均温度が10度くらいになると飛散を開始します。通常2月中旬からシーズン開始と言われますが、12月や1月の暖かい日中にもスギ花粉が飛んでいます。
(飛ぶ地域)
スギ花粉は全国的に飛散します。北海道の一部の地域にスギが生息していますが、そこを除く北海道や沖縄ではスギ花粉が飛ぶことはありません。
(多い時期)
全国的に3月が最も花粉飛散量が多い時期です。関東地域や東北地域においては、2月から4月まで大量の花粉飛散が続き、年によっては5月に入っても花粉が飛び続けることがあります。
(飛ぶ距離)
スギ花粉は風に乗せて花粉を飛ばして子孫を増やす「風媒花」で、数十キロから数百キロ以上も離れた場所まで飛びます。お住まいの近くにスギ林がなくても、例えば隣の県の山林からスギ花粉が飛んでくるようなことがあります。
(飛ぶ時間帯)
花粉は朝方に飛び始めます。田舎のスギ林から放出された花粉はお昼頃に都心部に到着します。従ってお昼頃から夕方にかけて花粉が多く飛散しています。
(ヒノキにも注意)
スギ花粉のアレルゲン(*花粉症の原因物質)とヒノキ花粉のアレルゲンは似ているため、スギ花粉症の方はヒノキの花粉にも注意してください。
●ハンノキ(カバノキ科)
■2月、3月、4月のハンノキ地域別飛散予測
(ハンノキとは)
ハンノキはカバノキ科ハンノキ属の樹木です。落葉高木のハンノキは日本全域に分布しますが、特に北海道と北陸地方に多くみられます。湿地において森林を形成する数少ない樹木のひとつで、ハンノキ森林がある地域でハンノキ花粉症の発症がよくみられます。
(飛び始め)
ハンノキの花は12月~2月頃(北海道では3月頃)に葉の先につきます。ハンノキ花粉はスギより少し早めの1、2月頃から飛び始めますが、花粉飛散のピークは全国的に3月、4月です。5月ごろまで飛び続けます。
(口腔アレルギーに注意)
ハンノキと同じカバノキ科にシラカバ(*シラカンバともいう)があります。カバノキ科の花粉症の方は後述するようにバラ科の果物や野菜を食べると口がイガイガするなどの口腔アレルギー症状群を起こすことがあるので注意してください。
(ヤシャブシとは)
ヤシャブシ(引用:Akiyoshi’s Room )
ハンノキと同じカバノキ科ハンノキ属の落葉高木に「ヤシャブシ」や「オオバヤシャブシ 」があります。ヤシャブシは西日本に、オオバヤシャブシは太平洋側によく生えています。これらの花粉も花粉症の原因になります。花粉飛散時期はハンノキ同様に1月から5月で、ピークは3月、4月です。
(都会でも増えているカバノキ科花粉症~コナラ、ブナ、クリ)
コナラの雄花(引用:KENPEI)
湘南鎌倉総合病院 免疫・アレルギーセンター長(兼、国立 相模原病院)の谷口正実先生によると「カバノキ科のハンノキやシラカバと、ブナ科のブナ、コナラの花粉とは共通抗原性(*アレルゲンが似ている)があります。どんぐりが成っている木がブナやコナラですが、公園や小さい山があるところには必ず生えています。例えば神奈川県にもコナラの木は多く、カバノキ科花粉症の人は増えています」。北海道や長野県のようなカバノキ科の木が多い地方だけでなく都会でも注意が必要です。
喘息と思ったらイネ科やカバノキ科花粉症だった?子どもの舌下免疫療法で小児喘息を予防?~相模原病院・谷口先生に聞く(後編)
●ヒノキ
■2月、3月、4月のヒノキ地域別飛散予測
(ヒノキとは)
高さ20~30メートルになるヒノキはその芳香も好まれ高級建材として有名ですが、スギと並んで春の花粉症の原因になります。ヒノキとスギは同じヒノキ科の植物です。
(飛び始め)
気象条件によっては1月、2月に少量の飛散が観測されることがありますが、通常の飛び始めは3月中旬頃です。飛び始めると同時に一気にピークに向かいます。
➡ヒノキ花粉の原因アレルゲンとは?埼玉大学・五島さんが解説↓
●シラカンバ(カバノキ科)
シラカンバ(引用:663highland)
■2月、3月、4月のシラカンバの地域別飛散予測
(シラカンバとは)
シラカンバ(白樺)はシラカバともいい、カバノキ科カバノキ属の落葉樹のひとつです。樹皮が白いことからこのような名前がついたと言われています。主に北海道と福井、長野、静岡の高原などにみられます。北海道ではスギは道南に少し生えている程度なので、花粉症といえばシラカンバが原因である可能性が高いです。
(飛ぶ時期)
シラカンバの花粉は4月から6月にかけて飛散し、ピークは5月です。
(口腔アレルギーに注意)
ハンノキと同じくカバノキ科に属するので、リンゴやモモなどの口腔アレルギー(果物アレルギー)に注意が必要です。
●イネ科
イネ科の雑草
■2月、3月、4月のイネ科地域別飛散予測
(イネ科とは)
イネ科の植物の中には花粉症の原因となるものが複数あります。代表的なものはカモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ネズミホソムギなどです。
(飛ぶ時期)
種類ごとに花粉のピーク時期に違いがありますが、5月~6月、8月~9月の2つの時期に多く飛びます。この2つの時期以外でもほぼ一年を通して微量のイネ科花粉が飛散しています。
2.症状の特徴
●スギ・ヒノキの花粉症
■4大症状
スギ、ヒノキの症状は、
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 目のかゆみや充血
のうち複数が発症することがほとんどです。
また、これらに加えて
- 喉(のど)、肌、耳、頭皮などのかゆみ
- 咳(せき)
- 頭痛
- 微熱
といった症状も合わせてみられます。
➡咳や喉の症状について
花粉症の咳や喉の症状とは?咳に効く薬や対策を紹介。咳喘息にも注意
■頭痛
鼻水や鼻づまりが原因で脳が酸欠状態になったり、症状の原因物質ヒスタミンが血管を拡張して血流が悪くなるために頭痛が起こることがあります。
➡花粉症で頭痛?
花粉症が原因で頭痛が起こるのはなぜ?~頭痛の症状別対策法やおすすめ市販薬
■かゆみや咳
スギやヒノキの花粉のサイズは一般的に約30μm程度です。ふつうは目や鼻の粘膜フィルターで防御されて、喉や気管支まで到達することはありません。しかし、花粉が湿気で膨張したり粉じんや黄砂にぶつかると、破裂し細かい粒子になります。すると花粉の表面や内部にあった花粉アレルゲン(*花粉症の原因物質)がそのままの姿で、またはPM2.5などに付着して大気中に浮遊します。微粒子になった花粉や花粉アレルゲンは体内の奥まで入りやすく、咳、喉や皮膚のかゆみ、喘息などの症状を引き起こすことがあります。
➡花粉研究の第一人者、(国立)埼玉大学・王青躍教授の花粉爆発理論とは
花粉症の原因はPM2.5?花粉症で気管支炎や喘息が発症する理由と対策法の注意点
●ハンノキ、シラカンバの花粉症
ハンノキ、ヤシャブシやオオバヤシャブシ、シラカンバはカバノキ科に属します。症状の特徴としては、一般的な花粉症の症状に加えて、口腔アレルギー症候群(*花粉-食物アレルギー症候群、果物アレルギーともいう)が起こりやすいことです。
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 目のかゆみや充血
- 喉、肌、耳、頭皮などのかゆみ
- 咳
- 頭痛
- 微熱
- 口腔アレルギー
■口腔アレルギー(果物アレルギー)
「口腔アレルギー症候群」とは、花粉症の原因となる植物のアレルゲンたんぱく質と似ているたんぱく質を持っている野菜や果物などの食べ物に対して、体の免疫機能が間違えて排除しようと反応してしまい、口や口の周り、喉などにかゆみや腫れなどの炎症が起こる症状です。(花粉-食物アレルギー症候群、食物アレルギー、果物アレルギーともいう)
かゆみだけでなく、血圧が急激に下がるなど「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤な症状が起こる危険性もあるので、おかしいなと思ったらすぐに病院に連絡してください。
口腔アレルギーに注意!花粉と関連のある食べ物
(参照:九段坂病院皮膚科など)
- ハンノキ・シラカンバ:リンゴ・モモ・梨・びわ・さくらんぼ・ニンジン・セロリ・クミン・コリアンダー・アーモンド・クルミ・ヘーゼルナッツ・大豆・もやし・豆乳・キウイ・トマト・ジャガイモ・甘草・当帰など
- スギ:メロン・モモ・スイカ・キウイ・トマトなど
- ヒノキ:トマトなど
- イネ科:メロン・スイカ・トマト・ジャガイモ・バナナ・オレンジ・セロリなど
- ヨモギ:ライチ・セロリ・ニンジン・セリ科のスパイス・モモ・キウイ・カモミール・トマト・ジャガイモなど
- ブタクサ:ライチ・メロン・スイカ・キュウリ・ズッキーニ・バナナなど
➡リンゴや桃を食べると口がイガイガ…花粉と関係がある?順天堂大学 伊藤潤先生が解説↓
●イネ科の花粉症
イネ科雑草が原因の花粉症の特徴は、雑草が皮膚に直接ふれると赤く腫れたり、皮膚などのかゆみの症状が目立つことです。また、メロン・スイカ・トマト・ジャガイモ・バナナ・オレンジ・セロリを食べると口腔アレルギーが起こりやすいと言われています。イネ科花粉症の人は特定のイネ科雑草だけでなくあらゆるイネ科の種類に反応する傾向があります。
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 目のかゆみや充血
- 喉、肌、耳、頭皮などのかゆみ
- 咳
- 頭痛
- 微熱
- 口腔アレルギー
➡イネ科花粉症とは?
【花粉症症状】この時期一番多いイネ科の花粉症とは?特徴や症状のまとめ
3.春の花粉症対策
●外出時や室内の花粉対策~セルフケア
花粉症の対策には花粉を寄せつけないことが一番です。
外出時にはマスク、縁付きメガネ、帽子などで花粉からガードしたり、花粉ブロックスプレーやポリエステル素材などの上着を着用してください。
室内に入るときは、ハンディ掃除機で身体やカバンに付いた花粉を吸引すると効果的です。花粉を軽くはたいた後、濡れタオルで髪や顔、身体をふくこともおすすめです。
部屋の中では床に落ちている花粉や花粉アレルゲンを掃除機で、空中に飛んでいるものは空気清浄機で吸い取ります。寝室にも花粉が入り込んでいるので、床だけでなく寝具にも掃除機をかけるようにしてください。
●お茶やヨーグルトでも
花粉症は過剰な免疫反応によっておこるものです。腸は免疫細胞が集中している臓器です。腸の中の細菌叢(細菌フローラ)のバランスを整えることで免疫機能が正常化します。善玉菌を増やす効果が期待できるお茶やヨーグルト、納豆などは花粉症などのアレルギー症状の緩和に効果があるとの研究結果が報告されています。
➡発酵食品のヨーグルトで花粉症対策!どれがオススメ?
●重症な花粉症向けの治療が始まった
2020年シーズンから、花粉症の重症患者向けに、皮下注射による新しい治療法「ゾレア」がスタートしました。
ゾレアはすでに気管支喘息やじんましん向けに使用されている薬ですが、花粉症向けに世界で初めて適用可能になりました。飲み薬や点鼻薬などだけでは症状が軽くならない方は、医師に相談してみるといいでしょう。
ゾレアの詳しいことは、以下をご覧ください。
スギ花粉症の新治療「ゾレア」とは?効果・副作用や対象者、薬の費用など日医大・大久保公裕教授がやさしく解説
➡人気No1の花粉症薬
【第2類医薬品】アレグラFX 28錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
*地域別花粉飛散予測表の見方*
ダーラム法と呼ばれる花粉観測手法でスライドグラス上に捕獲した花粉の個数で表の色分けをしている。
- ●木の花粉:0.1~5.0個/cm²/日は「少なめ」、 5.1~50.0個/cm²/日は「やや多め」、「50.1個/cm²~/日」は「多め」
- ●草の花粉:0.1~1.0個/cm²/日は「少なめ」、 1.1~5.0個/cm²/日は「やや多め」、「5.1個/cm²~/日」は「多め」
コメント
春に花粉症がひどいのですが11月下旬ごろからも同じ症状が出てきました。
この記事を読んで、冬でも花粉症があると分かって対策が分かるようになりました。
なお、ブタクサの項の花はセイタカアワダチソウです。ブタクサはもっと地味で薄黄色のうつむいた花の塊を付けて居ます。
金子様、
コメントありがとうございます。またブタクサの写真のご指摘、ありがとうございます。お詫びして訂正します。
早くも春の花粉ピーク時期到来のようですが、どうぞお大事にしてください。
今後ともそうぞよろしくお願いいたします。
花粉症クエスト
数年前から、12月後半になると喉の痛みがひどくなり、ずっと風邪かと思っていましたが、日記を読み返すと毎年同じ時期に同じ症状にかかっていて、もしかしてアレルギーなのではないか?と納得し始めました。
症状としては、12月喉の痛みから始まり、1月に入ると、それに加えて、頭痛、腎臓のあたり(腰の上の方)の痛み、胃の不快感、吐き気、すごい倦怠感に見舞われます。歯を磨く時チェックすると舌も苔がはえたように白くなります。寒さのせいか筋肉も固まって行くようなギシギシした感覚もあります。
全てが機能低下する感じで気持ちもかなり低迷します。
この後冬の花粉から始まり6月ぐらいまでずっと風邪症状のような感じが続きます。
アレルギー薬を服用しますがあまり効果がないように感じます。薬は3つくらい変えてみたりもしました。
本当に憂鬱です。
コメントありがとうございます。心配な症状ですね。すでにお医者様にも相談しているのだと思いますが、アレルギー検査がまだでしたら一度実施してみてもよいかもしれません。冬から6月まで症状が続くとなると、複数の原因が存在する可能性もありますね。症状がひどくならないことをお祈りしています。どうぞお大事にしてください!花粉症クエスト