季節の変わり目に鼻水やくしゃみが出ると、風邪なのか花粉症なのか悩むことがあります。
ここでは、花粉症と風邪の症状の違いや見分け方、花粉症と風邪が併発してしまったときに風邪薬で花粉症の薬の代用になるのか、両方の薬を一緒に服用しても問題ないのか、などをご説明します。
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目次
1.花粉症と風邪の症状の違い
花粉症でも風邪でも鼻水やくしゃみ、咳といった症状が起こりますが、それらには違いがあります。比較してみましょう。
・症状の比較
症状 | 花粉症 | 風邪 |
---|---|---|
目 | かゆみ・涙目 | なし |
鼻水 | 水のようにサラサラ | やや黄色い |
鼻づまり | ある | ある |
くしゃみ | 1日10回以上など頻発 | ある |
せき | コホンという乾いた咳 | ゴホンという重たい咳 |
のど | かゆみ(痛み) | 痛み |
頭痛 | ある | ある |
悪寒 | あまりない | ある |
発熱 | 微熱 | 微熱から高熱まで |
嘔吐 | あまりない | ある |
下痢 | あまりない | ある |
関節痛 | あまりない | ある |
腰痛・肩こり | ある | あまりない |
期間 | 長め | 数日~1週間程度 |
・症状の違い
花粉症で発症する目のかゆみや涙目、充血などの炎症は、風邪が原因で起こることはないので、目に症状が出ているときは花粉症と考えていいでしょう。
同じ鼻水でも、花粉症はサラサラ水のようなタイプ、風邪は黄色味がかったネバネバタイプです。
風邪でもくしゃみは起こりますが単発のものが多いのに対して、花粉症では一度起こると止まらなかったり、1日に20回以上起こることもあります。
花粉症の咳はコホンという軽いタイプ。一方、風邪では痰がからんだような思いタイプであることが多いようです。
風邪ののどの症状は痛み、花粉症のどの症状は主にかゆみですが、悪化すると痛く感じることがあります。
また、風邪は通常1週間程度で治癒するのに対して、花粉症は花粉が飛んでいる間、症状が治らずに長く続くきます。
2.風邪薬で花粉症の薬の代わりになる?
花粉症と風邪が併発してしまったときに、風邪薬で花粉症の薬の代わりになるのでしょうか?または、どちらの薬も一緒に飲んでも大丈夫でしょうか?
・風邪薬で花粉症の代わりになる?
風邪薬の中にも、アレルギー症状の原因物質ヒスタミンが炎症を起こすのをブロックする作用がある「抗ヒスタミン成分」(クロルフェニラミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩など)が入っているものがあり、そのようなタイプであれば、ある程度は花粉症の薬の代用になり、鼻水やくしゃみを止めることもできます。
ただし、一般的には風邪薬に配合されている抗ヒスタミン成分の量は花粉症の薬と比べると少ないため、鼻炎などの症状を抑える効果が弱いといえます。
また、風邪薬には鼻炎症状を緩和する以外の成分も含まれているので、花粉症薬の代用として長期的に服用することはやめましょう。
・花粉症の薬と風邪薬は併用できる?
花粉症の薬と同じ抗ヒスタミン成分が入っている風邪薬との併用は避けてください。同じ抗ヒスタミン成分が含まれている薬を併用すると副作用の眠気や口の渇きなどが強くでることがあるからです。風邪薬に入っているクロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩などの抗ヒスタミン薬は第1世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプで、第2世代抗ヒスタミン薬と比べると眠気などの副作用がでやすいので注意してください。
もしも抗ヒスタミン成分の入っていない風邪薬であれば花粉症の薬と併用しても問題はないようです。ただし、薬の飲み合わせは素人では判断が難しいので、市販の薬を購入する場合には薬局でよく相談してみてください。
Point! 抗ヒスタミン薬の眠気の比較
【抗ヒスタミン薬の H1 受容体占拠率による脳内移行性の評価】
*グラフの上の薬剤が眠気が少ないと評価されている。
*ビラスチン(製品名ビラノア)がH1 受容体占拠率が最も少ない(=眠気が少ない)と評価されている。
抗ヒスタミン薬は脳内ヒスタミンH₁受容体占拠率がそれぞれ異なり、占拠率50%以上が鎮静性、20%以下が非鎮静性とされ、眠気などの指標とされる。グラフの上の薬剤が眠気が少ないと評価されている。d-クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンは第1世代抗ヒスタミン薬、それ以外は第2世代抗ヒスタミン薬。ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)は日本では第2世代に分類されているが、強い鎮静作用を有しており、欧米ではほとんど使用されていない。日本ではOTC薬を含めて鎮静性の強い第1世代がいまだに頻繁に使用されている実情がある。
(谷内一彦 薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療 日耳鼻 123: 196―204,2020を一部改変)
・抗ヒスタミン成分が入っている風邪薬の例
市販の風邪薬で抗ヒスタミン成分が入っているものをご紹介します。花粉症の薬を飲んでいる場合にはいったんやめてから風邪薬を服用してください。
●ルルAシリーズ(新ルルAゴールドDX・新ルルAゴールドS・新ルル-A錠s)

【指定第2類医薬品】新ルルAゴールドDX 90錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
●ルルアタックシリーズ(ルルアタックNX・ルルアタックEX・ルルアタックFXa)



【指定第2類医薬品】ルルアタックNX 24錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
●パブロンシリーズ(パブロンエースPro微粒/錠・パブロンSゴールドW顆粒/錠・パブロンSα顆粒/錠・パブロンゴールドA顆粒/錠・パブロンSせき止め)


●ベンザブロックシリーズ(ベンザブロックS・ベンザブロックL・ベンザブロックIP)


●コンタックシリーズ(新コンタックかぜ総合・新コンタックかぜEX)


【指定第2類医薬品】新コンタック かぜEX 20カプセル ※セルフメディケーション税制対象商品
●エスタックイブシリーズ(エスタックイブファインEX・エスタックイブファインTT・エスタックイブファインNT・エスタックイブファインFT)
【指定第2類医薬品】エスタックイブファインEX 24錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
●エスタックシリーズ(エスタック総合感冒・新エスタック「W」・新エスタック顆粒・新エスタックゴールド錠)
●コルゲンコーワシリーズ(コルゲンコーワIB錠TX・コルゲンコーワIB透明カプセルα・コルゲンコーワIB2)
【指定第2類医薬品】コルゲンコーワIB2 16カプセル ※セルフメディケーション税制対象商品
3.まとめ
風邪を治すには体力や免疫力を高めることが大切です。それには栄養や水分を十分にとって、温かくしながら休んだり睡眠をとることが第一です。それでも風邪の症状が治らないときには、花粉症の薬をいったんやめて市販の風邪薬を服用するか、早めに医師に相談して適切な処置を受けてください。
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