花粉症の症状といえば、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状に悩む方がほとんどですね。
そこで今回は、花粉症で鼻水が出るメカニズムや、風邪と花粉症の鼻水の違い、鼻炎薬の選び方についてご紹介します。
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目次
1.花粉症が起こるまで
最初に花粉症がどのように発症するのかを知っておきましょう。
・花粉症のメカニズム
①体内に異物(花粉)が侵入すると免疫のしくみがそれを排除するか受け入れるか判断します。
②排除すると判断すると、その異物(花粉)に特有のIgE抗体などの抗体を作り始めます。IgE抗体はマスト細胞とよばれる細胞にくっついて待機しています。表面に抗体が付着したマスト細胞が全身的に蓄積され、それがあるレベルに達すると花粉症になる状況が整います。この状態を「感作」といい、まだ発症する前の段階です。
③感作が成立した体内に、再び同じ異物、すなわちアレルゲン(花粉)が体に入ってくると、IgE抗体が反応して、その結果、マスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどのアレルギー原因物質が放出されます。
④放出されたヒスタミンなどは鼻や喉などの粘膜にある受容体を刺激します。するとくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの反応がおこります。
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2.なぜ鼻炎反応が起こるのか
鼻炎反応は、上記の④のところにあるように、大量のヒスタミンなどが鼻や喉の粘膜を刺激することによって発生します。くしゃみや鼻水で、ヒスタミンなどが発生する原因となっている花粉アレルゲンを体の外に追い出そうとしているわけです。もう少し詳しくみていきましょう。
・鼻の構造~鼻水がでるしくみ
鼻の中は、 大きく鼻腔(びくう)と副鼻腔(ふくびくう)からできています。
鼻腔とは
鼻の中の空洞は「鼻腔(びくう)」と呼ばれ、「鼻中隔(びちゅうかく)」と呼ばれる中央のしきりで左右に分かれています。
また、左右それぞれの鼻の中は外側の壁から張り出すように、「鼻甲介(びこうかい)」と呼ばれるヒダがあります。
鼻に吸い込まれた空気は、この鼻甲介の間を通って、体内に入っていきます。その過程で、空気が温められたり、空気中のほこりや病原体などの異物が吸着、除去されます。
鼻腔や鼻甲介は血管が密集した粘膜で覆われており、そこに花粉が付着すると、神経を刺激し、粘膜の線組織から分泌された鼻水が出るのです。健康な状態でも、一説によると1日に約1リットルもの鼻水を分泌しているらしいのですが、花粉症の過剰な反応状態では水のような鼻水が大量に流れ出るでるわけです。
さらに粘膜の血管が拡張したり、血管の透過性が増してそこから水分が粘膜に漏れ出すと、鼻づまりになります。 鼻の内部の鼻腔を通る空気の流れが悪くなることにより起こる感覚が鼻づまりです。
副鼻腔とは
副鼻腔(ふくびくう)は鼻腔の周囲にある空洞です。左右それぞれ4つからなり、鼻腔と同じように粘膜で覆われ、鼻水などで入ってきたほこりや微生物を除去しています。
鼻の構造(日本新薬HPを撮影)
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3.花粉症と風邪の鼻水の違い
・風邪の鼻水のしくみ
花粉症によって鼻水が出るメカニズムをご説明してきましたが、鼻水がでる症状としては風邪が原因のことも多いですね。
風邪で鼻水が出るメカニズムは、鼻腔や鼻甲介、副鼻腔が花粉を体から追い出そうとするメカニズムと同じで、風邪ウイルスや菌が鼻腔などの粘膜に付着すると、神経を刺激して鼻水が出るのです。
・鼻水の違い
花粉症の鼻水の特徴は、水のようなサラサラな鼻水で、色は無色で透明です。
これは鼻が花粉を感じて体の外に排出しているためのものです。
風邪の初期の段階でも、花粉と同様に風邪ウイルスなどを体の外に排出するため透明な鼻水が出ます。
その後、体の免疫が白血球を使って風邪ウイルスなどと戦いを始めます。その結果、風邪ウイルスなどや白血球の死骸がでますが、それが膿となって黄色い鼻水となるのです。
さらに風邪が悪化すると、膿の量が多くなった緑色の鼻水が出ます。この緑色の鼻水を放置すると慢性副鼻腔炎(蓄膿症ちくのうしょう)になる可能性があります。
4.花粉症の鼻炎薬はどう選ぶ?
花粉症の鼻炎症状が起こってしまったときの対処にはアレルギー性鼻炎薬を使うことです。
・効き目と眠気で選ぶ
医師の診察を受けて処方薬をもらう時間がないときには、市販の鼻炎薬に頼ることになりますが、鼻炎薬を選ぶときのポイントは、効き目の強いことと、眠くなりにくいことです。効き目が強いと眠くなりやすく、効き目がマイルドだと眠くなりにくい、という傾向があります。症状が発症したときからの時間の経過や症状のつらさなどから検討してみてください。
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・風邪と花粉症が併発したときは?
風邪と花粉症がいっぺんに起こり、まずは風邪の症状を抑えることを優先したいときには、風邪薬でも花粉症などのアレルギー性鼻炎にも効果がある鼻炎薬を利用することもできます。そのときは花粉症薬はいったんストップしてください。どちらの薬にも抗ヒスタミン成分が含まれていて、副作用が多くでてしまう危険性があるからです。また長期に花粉症薬の代役にすることも避けてください。
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■「ストナ ジェルサイナスS」
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5.おわりに
花粉症がつらいとき、ついつい口で呼吸してしまいがちです。
口で呼吸をしてしまうと、鼻のフィルター機能で花粉がシャットアウトされることなく、そのまま体の中に入ってしまいます。すると鼻水や鼻づまりが酷い人は余計に症状が悪くなるという悪循環になってしまいかねませんので、鼻呼吸ができるようにしっかり花粉症対策を講じてください。
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参照:
日本新薬HP
アレルギーi