熊本大学は2018年3月15日、飛散花粉の種類と量を化学的に検知することに成功したと発表ししました。この研究は、熊本大学 大学院・先端科学研究部の戸田敬教授と佐伯健太郎大学院生らの研究グループによるもので、花粉固有の化学物質を特定することで化学的なモニタリングが可能になり、飛散している花粉の種類の判別と花粉の飛散量の情報を得ることができるようになるとしています。
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1.現在の花粉飛散量モニタリング方法の問題
現在、環境省などの公的機関や研究機関、気象情報を提供する民間企業などで用いられている花粉飛散モニタリング手法は、屋外に設置したプレパラートに付着した花粉を顕微鏡で数えたり(例:ダーラム法)、花粉によるレーザー光の散乱を計数するもの(例:KH3000)が中心です。前者は人間の眼に頼る観測方法なので柔軟な観測が可能ですが非常に労力がかかります。後者では自動化されているものの花粉以外の粒子もカウントしてしまったり、花粉の種別がわからないといった課題があります。このような事情から現在提供されている花粉情報はスギ・ヒノキの春のシーズンに限られていたり、スギとヒノキの区別をされずに情報提供されていることもあります。
ダーラム法(環境省HPより引用)
リアルタイム花粉モニターKH3000(東邦大学HPより引用)
2.特有の花粉マーカーを大気中から検出可能に
●「花粉マーカー」を発見
そこで戸田教授らは、「花粉固有の化学物質を特定すれば、飛散花粉の同定と定量について化学的にモニタリングが可能で、より確かな情報が得られるのではないか」と考え、「加熱脱着-ガスクロマトグラフィー/質量分析」という手法によって、スギ・ヒノキ・アカマツ・クリなどの花粉に含まれる化学物質を分析し、花粉の指標となりうる候補物質の探索を行いました。その結果、すべての花粉に共通した化学物質があるのに加え、それぞれの花粉に固有の物質がいくつかあることが判明し、これらの物質を「花粉マーカー」としました。
熊本大学リリースより引用
●大気から花粉マーカー量の増減を観測
次に、大気に浮遊する粒子状物質をフィルターで捕集。フィルターを加熱して出てきた化学物質を調べると、花粉のシーズンに花粉マーカー物質が現れており、その花粉マーカーは花粉の飛散状況に応じて増減していることも観測できました。
現在の研究段階では大気中に含まれる花粉の種類ごとの個数をカウントすることはできませんが、花粉マーカー量の増減からその花粉の飛散量トレンドを推測することは可能です。

●草木花粉への対応
スギ・ヒノキ・アカマツ・クリについては特有の花粉マーカーを解明しましたが、ブタクサなどの草木花粉においても特有の化学物質(花粉マーカー)を見つけられれば、大気中の粒子をサンプリングしてその花粉量の増減を計測することが可能になります。
3.今後の研究課題
今後の研究課題としては、詳細なデータを取得したり、スギ、ヒノキ、クリなど季節によって異なる花粉時期で異なる物質が検出されるデータを積み上げ、花粉量の増減だけでなく花粉の個数への変換も検討したいとしています。
また、大気中の粒子の捕集と分析を自動化し、1時間~2時間毎程度でモニタリング可能な機器の開発をメーカーと共同で行いたい考えています。
熊本大学 大学院・戸田敬教授(左から2番目)と佐伯健太郎大学院生(左)
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