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2018年春の花粉症を振り返り、花粉症年間カレンダーで今後の対策を検討しよう!~大久保公裕教授インタビュー(後編)

2018年春の花粉症を振り返り、花粉症年間カレンダーで今後の対策を検討しよう!~大久保公裕教授インタビュー(後編)

日本医科大学・大久保公裕教授が理事長を、同大学・松根彰志教授が副理事長を務めるNPO法人「花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会」(http:hanamizu.jp)と花粉症クエストは共同で、大久保教授、松根教授をはじめ花粉症の治療最前線で活躍する医師が花粉症の治療や対策法について解説する(連載)「名医が教える!花粉症の治し方」をスタートしました。

ここでは、連載第1回「2018年春の花粉症の振り返り、花粉症年間カレンダーで今後の対策を検討しよう!~大久保公裕教授インタビュー」の後編をお伝えします。

「2018年春の花粉症を振り返り、花粉症年間カレンダーで今後の対策を検討しよう!~大久保公裕教授インタビュー」前編はこちらをご覧ください。

名医が教える花粉症の治し方 連載第一回前編

1.花粉症の年間カレンダー

・今から来春の対策を検討してほしい

Q:スギ・ヒノキ花粉のシーズンが終了した後、次の春に向けてやるべきことはありますか。

スギ・ヒノキ花粉症は通常、5月の連休明けで終了します。

その後にやっていただきたいことは、今年の症状や治療法を振り返り、今後の治療方針を検討することです。

例えば、

  • 症状がひどいので、根治や軽減が期待できる舌下免疫療法を検討する
  • 1シーズンに効果が限られても鼻の症状を抑えられるレーザー治療を検討する
  • 効果が感じられた薬による治療を継続する

といったことです。

なぜなら、スギ花粉症の舌下免疫療法はいつでも治療を始められるわけではありません。スギ花粉が飛散していない、一般的には6月から12月ぐらいの間に治療開始が限られます。従って花粉シーズンが終了した直後に今後の治療方針を検討してほしいのです。

【花粉症対策のための年間カレンダー】

花粉症対策年間カレンダー 

Q:舌下免疫療法では6月下旬に錠剤タイプの「シダキュア」が発売されますね。

はい、その通りです。

ただ、新薬「シダキュア舌下錠」は発売から1年間は処方が最大2週間分に限られるので、おそらく今年はまだ液剤のシダトレンが中心になると思います。舌下免疫療法は1ヶ月に1回の受診が必要なので、来年以降シダキュアが1ヶ月分処方可能になれば、液剤シダトレンから錠剤シダキュアに切り替わって行くのではないかと思います。

➡シダキュアとは?

「シダキュア」スギ花粉症舌下錠が6月末より発売決定!錠剤で12歳未満の小児も舌下免疫療法が可能に!

「シダキュア」スギ花粉症舌下錠が6月下旬より発売決定!錠剤で12歳未満の小児も舌下免疫療法が可能に!

・夏や秋の花粉症とは

Q:スギ・ヒノキ以外の花粉症を患う人も増えているように感じます。

5月から7月の初夏にかけてはイネ科雑草が原因の花粉症が発症します。近年、市街地などの緑地化計画で、芝生やイネ科雑草が生えているところが増えており、その結果、イネ科花粉症の患者さんが増加しているのです。

9月から11月はブタクサ花粉症がみられますが、ブタクサの生息は減少傾向にあるので、ブタクサで花粉症の症状が出る人は減っていると思います。もしこの時期に症状が出たりひどくなる場合には、ブタクサだけでなくスギ花粉症も疑ってみてください。秋にはスギの雄花が冬眠する前にこぼれて飛ぶことがあるのですよ。

また、秋はハウスダストが原因で花粉症に似た症状が起こることがあります。夏に繁殖したダニの死骸が秋になると舞い上がり、空気の乾燥も手伝ってハウスダストアレルギーになる人が増えているのです。秋に鼻炎などの症状が出る方は花粉症だけでなくハウスダストアレルギーも疑ってみてください。何が原因か迷うときには、アレルギー検査をしてみるとよいでしょう。

ブタクサ・イネ科写真

➡アレルギー検査とは?

花粉症検査

【花粉症検査】花粉症の検査の種類や内容は?どの科で受診?費用は?

Q:イネ科やブタクサ花粉症とスギ・ヒノキ花粉症との間で症状の違いはありますか。

基本的に症状は同じで鼻や目の症状が中心です。

しかし、イネ科雑草のような草の植物の花粉は、スギなどの木の植物よりも細かい花粉が多いので、喘息の症状が出ることがあります。

また、スギ、ヒノキの花粉は上から落ちてきますが、イネ科など草の花粉は下から上がってくる。自分の近くにある雑草から花粉が直接身体にぶつかってくるので、目のはれ、かゆみといった目の症状が出やすい傾向があります。

ただし、スギやヒノキは場所を選ばず遠くから飛んできますが、イネ科雑草の花粉はせいぜい数百メートルしか飛ばないので、河川敷、公園、自然が豊富な場所に近寄らなければ、花粉症になることはありません。

Q:イネ科花粉症やブタクサ花粉症でも初期療法が必要ですか。

スギやヒノキは花粉飛散時期がほぼ決まっていますが、イネ科雑草などは飛散時期が一定ではなくいつから治療を開始したらいいのか判断が難しい。従って症状を感じたら早めに病院に行って診察を受けるのがいいでしょう。

➡秋の花粉症に注意!9月の花粉症とは?
9月の花粉情報 9月の花粉症の種類や特徴 花粉カレンダー

【花粉情報】9月の花粉症の原因はブタクサ・ヨモギ・カナムグラ!イネ科花粉も。9月の花粉飛散情報や秋の花粉症の種類と対策について

・日頃の食べ物や運動で体質改善することは花粉症にも良い

Q:ヨーグルトやお茶など花粉症にもよいとされる食べ物や飲み物がありますが、ズバリ、花粉症に効果はあるのでしょうか?

食べ物や飲み物で花粉症が治るであれば、それは薬になっているでしょう。薬でないのであれば、それらで治るとは言えないですね。

しかし、食べ物や飲み物を体質改善や健康増進といった観点で取り入れるのはよいと思います。例えばべにふうき茶の抗酸化作用やヨーグルトの免疫調整作用を利用して体質を変化させることができれば花粉症対策にもつながります。

インド人はガンジス川の水を飲んでも平気でいられますが、日本人はそうはいきません。各メーカーがヨーグルトを作るときに選んでいる乳酸菌は何千もある菌種の中から免疫調整作用が最も優れているものを選んでいます。そこで積極的にヨーグルトを食べて腸の中に優れた乳酸菌を”飼う”ようにして体質改善を図ったり免疫力アップに努めるのは理にかなっていますね。

Q:体操や運動は花粉症の緩和に効果があるのでしょうか。

鼻水やくしゃみが出るときは、自律神経のうち副交感神経が優位に傾いているときです。緊張したり汗をかいているときには交換神経が優位になっています。

自律神経とは

この神経反射がすばやくできて、交感神経を優位に傾かせることができる人は、免疫的にアレルギーがあったとしても症状が軽くすみます。例えばアスリートが花粉症であっても試合のときにくしゃみをすることはありませんね。それは緊張して交感神経が優位になっているからです。同じように、花粉症の患者さんも運動やストレッチなどを積極的に行い汗をかく習慣があれば、交感神経を自在に働かせられるようになり、症状が軽くてすむのです。

体内の水分という観点からみても、汗をかくことはおすすめです。汗の水分は鼻水、涙と同じように皮膚に近い細胞間に存在しているものです。これらの水分は尿で出すことはできません。よって汗が出なければその水分は鼻水や涙で出そうとします。

つまり運動やストレッチを日常的に行うことは健康増進になり花粉症の方にもおすすめです。マッサージも神経反射でみれば同じ原理です。例えば鼻のツボを押して神経反射を変えることで瞬時に交換神経を優位にさせて、鼻水やくしゃみを止めたり軽くすることができるのです。

鼻のツボ

鼻のツボの図

2.花粉症のこれから

Q:花粉症が社会問題化して25年程度たちましたが、まだスギやヒノキの花粉は減らないでしょうか。

スギやヒノキは樹齢30年以上になると盛んに花粉を生産します。戦後の植林政策で植えられたスギやヒノキの大部分は樹齢30年を超え、現在は花粉生産がピークになっています。しかも、すべてが樹齢30年に到達しているわけではないので、花粉生産のピークはあと数十年続くでしょう。

スギ・ヒノキの樹齢 グラフ

林野庁HPより引用

Q:治療法はさらに進化していくでしょうか。

花粉症が問題視されてから、さまざまな治療法の研究がなされ、その成果として舌下免疫療法が誕生しましたし、治療薬もたくさん上市されました。

しかし、花粉症の難しい点は、患者さんの中に5歳の子どももいれば60歳の大人もいるワイドバリエーションなところで、例えば高血圧のように対象の年齢幅が狭い病気とは異なり、ひとつの治療法ですべての患者さんをカバーできないという特徴があるのです。

現在もスギ花粉ワクチンや花粉症緩和米などの新しい免疫療法が研究されていますが、これらはスギ花粉アレルゲンを部分的に使用した治療薬なので、おそらく非常に効果がでる患者さんと全く効かない患者さんのどちらもがあり得ます。

Point!

・スギ花粉ワクチン:アステラス製薬が開発中のスギ花粉症の治療用ワクチン。数カ月の治療期間に一定の間隔で注射し、スギ花粉によるアレルギー反応を弱めていく免疫療法製剤。治験のⅡ相までが終了したと報じられている。

・スギ花粉症緩和米:スギ花粉のアレルゲンを一部改変し遺伝子組換え技術でお米に蓄積したもので、農研機構が研究開発した。腸管免疫寛容でスギ花粉症の緩和に効果があるとされるが、現在2つの医療機関で臨床研究が実施されている。

Q:万人に効く治療が難しいのですね。

その通りです。まさに「たかが花粉症、されど花粉症」といわれる所以ですね。

人間の免疫は時代とともに変化しています。ちょっと想像してみてください。江戸時代の多くの家はスギの木で作られていました。ということはスギがたくさん生息していたはずですが、江戸時代の人たちが花粉症に悩んでいたという話は聞いたことがありません。花粉よりも結核やばい菌で病気になる人が圧倒的に多く、免疫が花粉などの自然のものにさほど反応していなかったのです。

もし将来、人間の免疫がすべての病原菌をブロックできるようになったら、人間の身体は自然のものに極端に免疫反応を起こす可能性もありえます。花粉症の根治療法ができたとしても、花粉以外の自然に対して新たな病気が生まれているかもしれません。

このように人間の免疫は環境で変化する。免疫をみれば人間の進化がわかる、とも言えるでしょう。だから今、免疫学は新しい発見や治療法が生まれる余地のあるおもしろい研究領域なのです。

3.スギ花粉症の誰もが治る治療法を

Q:ところで、大久保先生ご自身は花粉症ですか?

いえ、違います。

私もそうですが、医師は花粉症の人が少ないと思います。

くしゃみや鼻水がでたり、目がかゆくて擦ることは、花粉から身体を防御している行為です。医師の場合、診察の際に患者さんが感染しているインフルエンザウイルスや病原菌に接することは避けられません。仕事上、身体が許容できるものは許容しようという性質に自然となっていくように思います。その結果花粉に対しても過剰に反応せず、花粉症になりにくいのでしょう。

Q:「花粉に接しても許容する身体づくり」こそが花粉症対策の極意ですね。

そうですね。もちろんスギ花粉に接しなければ体内で花粉の抗体が作られないので花粉症になりません。沖縄や北海道に住めばスギ花粉症にはならないですし、花粉症でない人も2月から4月はマスクやメガネをしていれば花粉症を予防できます。前述しましたが、ふだんから運動をして自律神経系を反射しやすくしておくことも大事です。

Q:最後に大久保先生の今後の抱負を教えてください。

やはり、スギ花粉症の誰もが治る治療法を研究開発することです。

スギ花粉症の治療が完成すれば、免疫の病気を治す上で大きな前進です。

そのためにはアイデアとテクノロジーをミックスして、今までにない新しい手法を確立したいと考えています。

Q:それは待ち望まれますね!お忙しいところ興味深いお話をありがとうございました。

■大久保公裕先生プロフィール

免疫アレルギー性疾患を専門に研究し、花粉症治療において日本を代表する医師。国や企業と共同でアレルギー性鼻炎の新しい免疫療法の開発を積極的に進めている。花粉症の舌下免疫療法の開発では大規模臨床試験の責任者として治療法確立に大きく貢献した。

  • 1984年 日本医科大学 卒業
  • 1988年 日本医科大学大学院 修了
  • 1989年~1991年 アメリカ国立衛生研究所(NIH) 留学

(現在)

  • 日本医科大学大学院医学研究科医学系研究科
  • NPO花粉症鼻炎治療推進協議会会長
  • 日本耳鼻咽喉科学会 代議員
  • 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 理事
  • 日本アレルギー学会 常任理事
  • 第58回日本鼻科学会総会・学術講演会(2019年 東京)会長

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