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副鼻腔炎の治療法とは?鼻づまりには納豆がおすすめ⁉福井大・高林哲司先生がわかりやく解説【市民講座10/5】

副鼻腔炎の治療法とは?鼻づまりには納豆がおすすめ⁉福井大・高林哲司先生がわかりやく解説【市民講座10/5】

2019年10月5日、NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会と福井大学医学部耳鼻咽喉科の共催で、鼻の病気の最新情報を紹介する市民公開講座が開催されました。

ここでは、講演2として福井大学耳鼻咽喉科 高林 哲司先生がお話しした「減ったあおっぱな、増える難治性ちくのう」の概要についてレポートします。

1.減ったあおっぱな、増える難治性ちくのう

高林 哲司先生(福井大学 耳鼻咽喉科学 講師)

・鼻の病気も時代と共に変化する

高林先生「鼻の病気は時代と共に変化します。1960年代の高度成長期に多かったのは蓄膿症ですが、80年代以降は花粉症が顕著になり、2000年あたりから難治性副鼻腔炎が出現しました。環境や食生活の変化がそれぞれ影響していると考えられています」。

2.副鼻腔炎はどんな病気?

・副鼻腔炎とは

高林先生「顔面骨の中にはいくつかの空洞があり鼻腔につながっています。これらの空洞を「副鼻腔」といいます。その副鼻腔がどんな機能を司っているのか全貌はわかっていません。「鼻腔」でも行っている吸気の加湿と加温を副鼻腔でも行っていたり、音声の共鳴、免疫機能のバランスにも関係していると考えられています」。

(画像は高林先生の講演より)

高林先生「副鼻腔には粘膜があり、通常は粘液が線毛の働きでゆっくり循環しています。ところが細菌やウイルスが原因で炎症が起こると、粘膜が腫れ、ひどいと膿が副鼻腔に貯留して、その膿が鼻や喉にたれ流れてしまいます。これが「副鼻腔炎」です。風邪をひいたり、カビ、虫歯の菌が原因で起こることが多いです。

副鼻腔炎は大きく分けて、急性と慢性の2種類に分けられます。「急性副鼻腔炎」は発病して4週間以内のもの、「慢性副鼻腔炎」は12週間以上持続するもので、さらに4つのタイプに分けられます」。

  • 急性副鼻腔炎
  • 慢性副鼻腔炎:①慢性副鼻腔炎(蓄膿症)②副鼻腔真菌症③歯性上顎洞炎④好酸球性副鼻腔炎

高林先生「慢性副鼻腔炎のうち、4番目の「好酸球性副鼻腔炎」は2000年以降に現れた新しいタイプで、それ以外の3つは従来型タイプといえます。それでは最初に、従来型タイプの慢性副鼻腔炎についてご説明しましょう」。

・①蓄膿症とは

高林先生「慢性副鼻腔炎のひとつが、いわゆる「蓄膿症」です。蓄膿症になると膿汁が貯まり、鼻水や痰がでたり、喉に膿が流れる「後鼻漏」という症状が起こります。すると味覚障害や頭痛、痰がらみの咳が起こったり、高齢者の中には膿の中にいる細菌が原因で肺炎を起こすこともあります。頭がぼーっとするので、子どもの場合、学校の成績に影響することもあります。

ただし、頑固な後鼻漏の中には、副鼻腔にはなんら問題がなく、鼻の奥の突き当りの部分の「上咽頭」に炎症が起こっていることもありますので、ちょっと気にしておいてください」。

・②副鼻腔真菌症とは

高林先生「カビが生えて副鼻腔にカビが増殖して炎症を起こす病気がが「副鼻腔真菌症」です。カビは薬ではなかなか取り除けないので手術治療が行われます。50歳以上の方に多い症状です。予防法としては、室内のカビをなるべく減らすために換気、除湿が有効であると考えられますが、高温多湿の日本では完全に予防するのは難しかもしれません。

通常副鼻腔のカビは寄生する形で副鼻腔に限局する事が多いのですが、免高齢者や免疫力の低下した患者さんでは、カビが爆発的に発症して、カビが奥に増殖することによって急に目が見えなくなったり、ひどいと髄膜炎を起こすこともあります。その場合は緊急手術になります」。

・③歯性上顎洞炎とは

高林先生「歯茎と副鼻腔は非常に近く、虫歯があるとばい菌に感染して副鼻腔に炎症を起こすことがあります。これが「歯性上顎洞炎」です。いくら副鼻腔を治しても、虫歯を治療しないことには再発するので、鼻と歯と両方の治療が必要です」。

・従来型の副鼻腔炎の治し方

高林先生「従来型の副鼻腔炎は原因となる菌がわかっているので、主に薬物療法で対処します。近年ではネブライザーと呼ばれるミストの形で薬を投与する治療法も耳鼻咽喉科でよく用いられています。

それでも治癒しない場合には、内視鏡を用いた手術を行います。最近は、ナビゲーションシステムのような手術をサポートする機器も広く導入されているので、非常に安全に手術を行えるようになっています」。

3.好酸球性副鼻腔炎の概要と治療法

・新しいタイプ「④好酸球性副鼻腔炎」とは

(画像は高林先生の講演より)

高林先生「先に説明した3つの慢性副鼻腔炎は古くからある従来型タイプですが、2000年頃から増えてきたのが「好酸球性副鼻腔炎」です。その特徴は、蓄膿症のように膿が多く出るのではなく、粘膜がぶよぶよに腫れ「鼻茸」(はなたけ)と呼ばれるポリープができることです。

子どもには発症せず、成人に起こる病気で、他の副鼻腔炎のように抗生物質では効果がありません。ひどくなると嗅覚障害、好酸球性中耳炎、気管支喘息が併発します。最近の研究で女性の方が男性より嗅覚が発達していることが報告されていますが、この病気では男性以上に女性の患者さんで「臭いがしない」と悩みを訴える人が多いように感じています」。

・治療は手術とステロイド薬が中心

高林先生「好酸球性副鼻腔炎の治療法はまだ定まっていませんが、手術が中心です。加えて、ステロイド薬の内服または点鼻が行われます。ただし、薬をストップすると再発することが多いのがこの病気のやっかいな点で、新しい治療法がいくつも研究開発されているところです。そのひとつが、分子標的治療薬すなわち抗体療法で、治験のレベルでは効果が確認されていますがまだ日常診療では使う事ができません。

数年前に、中等以上の重篤な好酸球性副鼻腔炎は、指定難病に登録できるようになりましたので、手続きを行うと治療の経済的な面でサポートを得られるようになりました」。

・漢方薬による治療

高林先生「分子標的治療薬以外にもさまざまな治療法が研究開発されています。これからご紹介するものは、まだ100%確立したものではないという前提で聞いてください。

ひとつが漢方薬です。辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)という漢方薬が鼻づまりに効果があるとされていますが、今後の研究で、副鼻腔炎の病気機序の中で「この段階で漢方薬が効く」ということがより明確になると、もっと漢方薬が治療に使われるようになるでしょう」。

・納豆で鼻茸や痰がすっきり⁉

(画像は高林先生の講演より)

高林先生「発酵食品に含まれる酵素も治療に注目されています。好酸球性副鼻腔炎の浮腫にはフィブリンという血液を固める成分がたくさん含まれており、フィブリンを溶かす成分があればいいと考えたところ、納豆に含まれるまれるナットウキナーゼという酵素にはその機能があることがわかりました。実験で鼻茸にナットウキナーゼをかけて24時間置いてみると、鼻茸はかなり縮小します。また、好酸球性副鼻腔炎でよく合併する喘息で生じる粘稠な痰も、ナットウキナーゼで溶かすことができました」。

(画像は高林先生の講演より)

高林先生「さらにナットウキナーゼの効果を検証するために、大規模な臨床研究を行い、患者さんたちに2カ月間納豆を食べてもらったところ、全員ではありませんが鼻茸が小さくなり、副鼻腔に隙間ができる効果が得られた方もいました。私の患者さんにも1年ぐらい納豆を食べてもらったところ、鼻茸がすっかりきれいになった人もいます。また、好酸球性中耳炎の患者さんの中にも、納豆を継続的に食べて症状が軽減した人がいます。

そこで、これからの季節、風邪をひくことも多いかと思いますが、ネバネバした痰が改善しないようなきには、納豆を1日3箱、3日間ぐらい食べると、痰がサラサラになるかもしれません」。

・善玉菌「酪酸菌」による治療

高林先生「最近、ビフィズス菌などの善玉菌を増やして腸内環境を整え、アレルギー抑制に役立てる治療法が増えていますが、腸内細菌が好酸球性副鼻腔炎の症状を緩和できるのではないかと考えています。まだ研究段階でどの菌がこの疾患に効果があるのかまでは分かっていませんが、善玉菌が腸内で増えるために必要な食物繊維を同時に摂取する事をお勧めします」。

・まとめ~減量も必要

高林先生「最後になりましたが、肥満がアレルギーを悪化させる事が分かっています。肥満と好酸球性副鼻腔炎の関係はまだ良くわかっていませんが、適度な運動が好酸球性副鼻腔炎によい効果をもたらす可能性もありますので、健康のためにもぜひ検討してみてください」。

高林哲司先生のプロフィール
  • 福井大学 講師 医局長
  • 医学博士
  • 日本耳鼻咽喉科学会 専門医
  • 耳鼻咽喉科専門研修指導医
  • がん治療認定医
  • 補聴器適合判定医師

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