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花粉シーズンに向け、子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎の治し方を聞く(前編)~こすぎ耳鼻咽喉科クリニック・金井憲一院長インタビュー

近年、スギ花粉が原因のアレルギー性鼻炎に悩むお子さんが低年齢化し増えています。

そこで、花粉症クエストとNPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会の共同連載「名医が教える!花粉症の治し方」では、NPOの理事であり、こすぎ耳鼻咽喉科クリニック院長の金井憲一先生に、子どもの花粉症などのアレルギー性鼻炎の特徴、風邪との見分け方、最新の治療法などについてわかりやすく解説していただきました!ここでは【前編】をご紹介します。

1.子どもの花粉症の特徴

・花粉症の鼻水はアレルギー性鼻炎

  • Q:花粉が原因で鼻水やくしゃみが出るのはどうしてですか?

(金井先生)花粉症は季節性のアレルギー症状です。アレルギー性鼻炎では侵入してきた特定の物質を異物と判断するとそれを排除しようとして、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こります。特定の物質のことをアレルゲン(抗原)といいます。季節性のアレルゲンとして代表的なものには、スギやヒノキ、カモガヤなどのイネ科雑草、ブタクサなどの花粉があります。季節に関係なく一年中あるアレルゲンには、ダニなどのハウスダスト、カビ、犬猫などのペットがあります。

・アレルギーの原因物質

  • Q:子どもの花粉症が増えているように感じます。原因はスギ花粉ですか?

(金井先生)その通りです。以前は子どもにはあまり見られない印象だったのですが、低年齢で発症するお子さんが増えていると実感しています。

子どもの場合もスギ花粉が原因であることが多いですね。アレルギー検査をするとカモガヤなどのイネ科雑草やブタクサが原因のこともありますが、スギ花粉の方が多いと思います。スギやヒノキの木の花粉の方が大量に飛散するので花粉症になりやすいからですが、お子さんがよく行く公園やグラウンドに花粉症の原因となるイネ科やブタクサなどの雑草がたくさん生えていると、草の花粉症になってしまうこともよくあります。

そして、花粉以上に多いのがダニなどのハウスダストのアレルギーです。ハウスダストの場合、花粉と異なり通年性なので曝露する機会が多く、子どものアレルギー性鼻炎の原因ナンバーワンです。

年齢別アレルギー性鼻炎有病率

鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版より引用、改定

・副鼻腔炎を起こしやすい

  • Q:子どもの花粉症の症状はどのようなものですか?

(金井先生)花粉症の代表的な症状である『くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ』です。

子どもは副鼻腔が発達途上にあるので、アレルギー性鼻炎が原因で副鼻腔炎を併発することがあります。花粉症の鼻水は透明でサラサラしていますが、副鼻腔炎を合併している場合、ネバネバして黄色くなります。

ただし、小学校高学年ぐらいになり鼻の骨格がしっかり発達すると自然と副鼻腔炎は治り、アレルギー性鼻炎だけがそのまま残ることが多いですね。

・アレルギーマーチ

(金井先生)また、アレルギーマーチと呼ばれるのですが、アトピー素因(*アレルギーを起こしやすい体質)を持っているお子さん、特にアトピー型喘息を持っているお子さんが花粉症になりやすいようです。アトピー型喘息の子の8~9割が花粉やハウスダストのアレルギーで、逆に花粉症の子の3割が喘息であるというデータもあります。

Point! アレルギーマーチとは

アレルギーマーチとは同愛記念病院小児科医長の馬場実先生が提唱した概念で、アトピー素因のある子に、アレルギー性疾患が次から次へと発症してくる様子をアレレギーマーチ(*アレルギーの行進)と呼びます。

病気の種類や発症の経過には個人差がありますが、以下がひとつの典型的なパターンです。最近では花粉症などのアレルギー性鼻炎のあとに喘息が出ることもあります。

アレルギーマーチの例
時期 主な症状
乳児期 牛乳、卵などでアトピー性皮膚炎・湿疹・下痢・腹痛など発症
6か月頃 喘鳴《ぜいめい》が起こる
1~2歳頃 気管支喘息を発症、ハウスダストに感作
7~8歳頃 アトピー性皮膚炎は治るが、花粉症などのアレルギー性鼻炎を発症
14~15歳頃 気管支喘息が治る(*約70%の子が治るが、残りは成人喘息へ)

・鼻血が出やすい

  • Q:子どもはアレルギー性鼻炎になると鼻血が出やすいでしょうか?

(金井先生)子どもの場合、鼻炎になると鼻が痒くてどうしてもいじってしまいます。その結果、鼻血がよく出ます。大人でも花粉症になると強く鼻をかみすぎたり、ティッシュを差し込んだり、手で鼻の中をほじくるなどして鼻水の中に血が混じっていることがよくあるんですよ。

2.風邪と花粉症の見分け方

  • Q:子どもの鼻水の原因が風邪か花粉症なのかを見分ける方法を教えてください。

(金井先生)まず第一に時期的な観点でみてください。例えば2月から4月に毎年鼻水が出るようであればスギやヒノキの花粉症を疑います。

次に目をよくこするかどうかをチェックします。

そして、花粉症であれば「Allergic Salute(アレジック サルート)」(*アレルギーの敬礼)と称される、アレルギー性鼻炎の子ども特有の手のひらで鼻をこする仕草をよくしています。

Allergic Saluteのしぐさの例

Allergic Salute

http://www.mpentclinic.comより引用

(金井先生)また、鼻がつまると目の下によく「くま」ができます。これを「Allergic Shiners(アレジック シャイナー)」といいます。大人は血管がたくさん走っているので血液の逃げ場があり「くま」にはなりにくいのですが、子どもの場合は鼻が腫れて滞った血流の逃げ場がなく目の下に溜まり「くま」ができやすいのです。

Allergic Shinersの例

アレジックシャイナー

http://www.hyperactivz.com/より引用

子どもの花粉症のサイン

【風邪と花粉症の比較】
風邪が原因 花粉症が原因
鼻水が数日でネバネバと黄色に 鼻水がサラサラで透明
1週間程度で回復する 症状が長く続く
熱が出ることがある 目のかゆみが出ることがある
咳・鼻・喉の痛みがある 外に出ると症状が出やすい

【後編】3.子どもの花粉症治療 4.花粉症の子どもに役立つこと コチラをご覧ください。

【金井憲一先生のプロフィール】
  • 昭和61年 都立日比谷高校卒業
  • 平成6年 山梨医科大学(現山梨大学医学部)卒
  • 平成6年 昭和大学病院 耳鼻咽喉科 入局
  • 平成20年 昭和大学病院 耳鼻咽喉科 医局長
  • 平成21年 昭和大学藤が丘病院 耳鼻咽喉科 准教授
  • 平成26年 こすぎ耳鼻咽喉科クリニック 院長
  • 医療法人翔和仁誠会 理事
  • 昭和大学藤が丘病院耳鼻咽喉科 兼任講師
  • NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会 理事

(こすぎ耳鼻咽喉科クリニックのホームページはこちら http://kosugi.sho-jin.com/