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【花粉症市民講座】花粉症治療薬の主な種類や新薬誕生の舞台裏~ふたばクリニック・橋口一弘院長が解説!

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花粉症の治療は薬物療法が中心です。ここ数年で新しい薬もいくつか登場しました。新薬を世に出すには安全性や有効性を確かめる多くの試験が必要とされますが、花粉が飛ぶ時期が限られる花粉症の薬はどのように試験を行うのでしょうか。

ふたばクリニック 橋口一弘院長が一般の人を対象にした「第6回花粉症市民講座」の中で花粉症の治療薬の種類や新薬ができるまでの舞台裏について講演されました。ここではその概要をレポートします!

1.6回目になる「花粉症市民講座」

日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器学大久保公裕教授が理事長を務めるNPO法人花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会は毎年「花粉症市民講座」を開催し、一般の方を対象に花粉症治療の最新情報をわかりやすく紹介しています。今年は第6回目で、『花粉症市民講座~花粉症・鼻副鼻腔炎(難治性ちくのう症)治療の最前線~こうして新しい治療は誕生する~』をテーマに 2月17日(日)に東京・永田町で開催されました。

日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器学 大久保公裕教授

大久保公裕 NPO理事長(日本医科大学大学院 教授)

2.新しい花粉症治療の誕生とその実際

セミナーの講演2として、ふたばクリニック院長で、NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会 理事の橋口一弘先生から「新しい花粉症治療の誕生とその実際」をテーマとする講演がなされました。

橋口先生「最近、新しい花粉症向けの治療薬がいくつも出てきました。薬がどのように作られてきたのか、その開発の舞台裏を今日はご紹介したいと思います」。

ふたばクリニック院長で、NPO理事の橋口一弘院長

橋口一弘 NPO理事(ふたばクリニック 院長)

・都民の約半数が花粉症患者

橋口先生「東京都が10年ごとに実施している調査によると、都民の約半数が花粉症であるこがわかりました。その花粉症患者さんを年齢別にみると、15歳未満の小児の有病率が約4割と年々高まっていること、60歳以上の高年齢の方の有病率も約3割と高いことが特徴としてあげられます。

最近はスギ花粉症向けの舌下免疫療法を行う患者さんが増えてきてはいるものの、多くの花粉症患者さんの治療方法としては医療機関の薬または市販薬が中心です」。

・スイッチOTC医薬品とは

橋口先生OTC医薬品とはドラッグストアや薬局で買える薬のことを指します。昔から売っているのがOTC医薬品ですが、スイッチOTC医薬品は現在も医療機関で使われている薬が薬局で買えるようになった薬です。

薬局に行くと箱だけ置いてある薬を見かけたことがありませんか?それはスイッチOTC医薬品の中でも要指導医薬品に分類されていて、薬剤師さんに説明を受けてから買うことができる薬です。

スイッチOTC医薬品のメリットは病院の薬と同じという点だけでなく、セルフメディケーションといってレシートを保持しておくと確定申告で税制優遇を受けらることもあります」。

・花粉症によく使用される薬~鼻水やくしゃみ

橋口先生「花粉症向けに病院でよく処方する薬に第2世代抗ヒスタミン薬があります。第2世代抗ヒスタミンは一般的に鼻水とくしゃみに効果的です。

患者さんの中には心配する方もいるようですが、同じ抗ヒスタミン薬を長期にわたって服用していても効果が薄れることはありません。もし今飲んでいる薬が効かないのであれば、かかりつけ医に相談して薬を変えてもらう方がいいと思います」。

花粉症によく使用される薬剤~第2世代抗ヒスタミン薬

花粉症によく使用される薬剤 第2世代抗ヒスタミン薬

(画像:橋口一弘先生提供)

・花粉症によく使用される薬~鼻づまりや鼻症状全般

橋口先生「花粉症の鼻づまりには飲み薬のロイコトリエン拮抗薬がよく使用されます。

また点鼻薬は花粉症の鼻の症状全般に使用される薬で、ステロイドが入っている点鼻薬もあります」。

花粉症によく使用される薬剤~ロイコトリエン拮抗薬・点鼻薬

花粉症によく使用される薬剤 ロイコトリエン拮抗薬 点鼻薬

(画像:橋口一弘先生提供)

・舌下免疫療法

橋口先生スギ花粉の舌下免疫療法の薬にはシダキュアとシダトレンがあります。液剤のシダトレンは2014年に発売になり、錠剤のシダキュアは昨年6月に販売開始されました。

免疫療法はスギ花粉の飛散が終わる6月以降から治療を開始することができます。症状の重症度に関係なく誰でも受けられる治療ですが、身体にスギ花粉を慣れさせるために3年から5年の間、治療を継続する必要があります。これまで治療を行った約8割の患者さんが効果を実感し、治療開始1年目でも、花粉シーズンに他の薬を使用せずとも花粉症の症状がほぼ出なかった方もいますが、約2割の方は治療効果を感じられなかったようです」。

舌下免疫療法とは

スギ花粉 舌下免疫療法 シダキュア シダトレン

(画像:橋口一弘先生提供)

・新薬ができる流れ

橋口先生「新しい薬ができるまでには、化合物を作るのに約10年、そこからマウスやサルなどの動物実験で安全性を評価し問題がなければ人での臨床試験を行います。臨床試験には第Ⅰ相から第Ⅲ相があります。第Ⅰ相は健康な人を対象に薬の安全性を確認し、第Ⅱ相は少人数の患者さんに有効性や安全性を確認します。第Ⅲ相では大規模な人数の患者さんを対象に有効性をチェックします。これらの臨床試験でトータル約3年から7年かかります。先ほどご説明した花粉症の薬もすべてこの流れを経て世に出されているのです」。

・スギ花粉症向けの薬を試験する~花粉曝露室

橋口先生「スギ花粉症の薬を試験するには、スギ花粉が飛散する時期に行わなくてはなりません。スギ花粉の飛散する量は一日ごとに変わりますし、年によっても変わります。つまりスギ花粉の飛ぶパターンは毎年一定ではないのです。そういう自然環境下で薬の有効性や安全性を確認する試験を安定的かつ客観的に行うのは大変難しい。そこで登場したのが花粉曝露室です。同じ花粉飛散の条件下で薬の効果を客観的に試験できるようになりました」。

・花粉曝露室とは

橋口先生「オーストリア、ドイツ、アメリカ、カナダなどの海外では1980年代からイネ科やブタクサなどの草の花粉曝露室が使用され始めました。

日本では2004年に和歌山で最初のスギの花粉曝露室がスタートし、その後、大阪(*今は運転停止)、東京、千葉にも創設されました。現在は国内で3つの施設が稼働しています。

東京にある花粉曝露室の開発には私も携わり、開発に係った先生方の頭文字をとってOHIO Chamber(オハイ チェインバー)と名づけられました。

花粉曝露室の試験では、被験者の方の花粉症の症状が薬によってどの程度抑えられたかを確認したり、薬を服用してから効果がでるまでの時間や薬の効く時間の長さを確認します」。

OHIO Chamber~煙突の中から室内に花粉が飛ぶ。空調で花粉濃度が均等になるように管理

被験者の方がオハイオチェインバーで実際に試験を受けている様子

・眠くならない花粉症薬が理想

橋口先生「どの花粉症の薬がおすすめですか、と聞かれることがありますが、花粉症の薬の効き目は個人差があるので、その患者さんにとって眠くなりにく効き目がある薬を医師とよく相談して探してください。

たまに眠くなってもいいから強く効く薬が欲しいという患者さんがいるのですが、眠くなると仕事や勉強などパフォーマンスに支障がでて、生活の質(QOL)が下がってしまいます。従って「眠くならなくて、その上で、よく効く薬がほしい」と言って医師に相談されることをおすすめします」。

♦橋口一弘先生のプロフィール

NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会理事/NPO花粉情報協会理事)

  • 昭和57年 慶応義塾大学医学部卒業
  • 昭和57年 慶応義塾大学病院耳鼻咽喉科入局
  • 昭和58年 済生会神奈川県病院耳鼻咽喉科勤務
  • 平成元年  産業医科大学耳鼻咽喉科講師
  • 平成2年  北里研究所病院耳鼻咽喉科勤務
  • 平成12年 北里研究所病院耳鼻咽喉科部長
  • 平成21年 北里大学北里研究所病院臨床教授
  • 平成23年 ふたばクリニック院長