花粉症対策におすすめの食べ物といえば発酵食品の納豆。今、「スーパー納豆菌」といわれる「S-903納豆菌」が大注目されています。
ここでは、納豆菌の最先端研究を行っている中部大学大学院 工学研究科 客員教授で、薬学博士の林京子先生になぜ納豆菌が花粉症対策に効果が期待できるのか、中でも「スーパー納豆菌」とされる「S-903納豆菌」はどこが優れているのか、また、林先生オススメの納豆の食べ方や食べる量などを教えていただきました!
1.納豆で花粉症が軽くなった!
- Q:林先生ご自身は花粉症ですか。
(林教授)はい、私も花粉症です。ところが、最近は目薬などをあまり使用しなくても花粉シーズンを過ごすことができるようになりました。その理由のひとつに納豆があげられると感じています。実は私は納豆があまり得意ではないのですが、2年前から意識的に食べるようにしました。すると、花粉症がとても軽くなったと感じています。これがこの研究に対する私のモチベーションと自信になっています。
2.花粉症に効果が期待されるメカニズム
- Q:なぜ、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に納豆は効果的なのでしょうか。そのメカニズムを教えてください。
(林教授)腸管にはヒトの免疫機能に関わる細胞が多く集まっています。インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの感染症を調べるための動物試験で、納豆には腸管にあるパイエル板という免疫組織を刺激し、IgA抗体と呼ばれる身体に入った異物と直接戦う抗体を効率よく作ることがわかりました。
一方、ヒトでの臨床研究の結果、納豆を継続的に摂取すると花粉症が起こりにくいことがわかりました。これは花粉症を引き起こすIgE抗体と呼ばれる抗体の産生が抑えられているからだと推定できます。
つまり、納豆菌は腸管免疫に重要な役割を果たすパイエル板という組織にダイレクトに入っていくこと、そして、納豆菌は身体を守るのに重要なIgA抗体の産生を促すが、花粉症などのアレルギーの原因となるIgE抗体の産生は抑制するという2つの作用を持っていると考えられます。
- Q:納豆菌のどこにそのような効果があるのでしょうか。
(林教授)納豆菌の死菌にRNAを壊す酵素を導入し、それをマウスに摂取させたところ、免疫活性化の効果は通常の納豆菌よりも落ちていました。納豆菌の免疫活性化作用は複数の成分に担われていると考えられていますが、RNAがその司令塔になっているかもしれません。
Point! 納豆とは
納豆は大豆を納豆菌によって発酵させてつくった食品です。納豆菌が大豆の成分を分解することによって、あの独特の味やねばねばが生まれます。
まず、大豆そのものに健康によいとされる成分が沢山ふくまれています。「植物性たんぱく質」、「ビタミン」、「食物繊維」、「カルシウム」、ポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」 や「大豆サポニン」などです。
それに納豆菌の作用が加わることで、大豆の既存の成分が増加したり、「ビタミンK2」、「ナットウキナーゼ」、「ポリグルタミン酸」といった新たな健康成分が生み出されたりするのです。
- ビタミンK2:股関節骨折予防
- ナットウキナーゼ:血栓症抑制効果
- ポリグルタミン酸:血糖値上昇抑制効果
- 大豆イソフラボン:更年期症状緩和効果
3.スーパー納豆菌「S-903納豆菌」とは
- Q:最近大注目のスーパー納豆菌「S-903納豆菌」はどこが優れているのでしょうか?
(林教授)S-903納豆菌は他の納豆菌と比べて量という点でとても優れています。具体的にはサイトカインという免疫細胞を連携させるたんぱく質をつくる量がきわめて多い。従ってS-903納豆菌を少し摂取しただけでも免疫活性化作用が期待できるのです。
出典:おかめ「納豆サイエンスラボ」より
4.おすすめの納豆の食べ方とは
- Q:どのぐらいの量の納豆を食べると花粉症対策に効果的ですか。
(林教授)動物実験でマウスに1カップ40g(*一般的に販売されている納豆カップの量)を毎日摂取させたところ、食べていないマウスと比較して花粉症の症状が軽くなることがわかりました。従って、私たちも1日に1カップ40gを継続的に食べると花粉症症状緩和に寄与することが期待されます。
- Q:花粉症対策のためにはいつから食べ始めて、いつまで続ける方がいいですか。
(林教授)納豆に限らず食べ物の免疫に対する機能性作用が出現するには約1ヶ月程度かかります。よって、花粉が飛び始める1ヵ月前の1月中旬ぐらいから意識的に毎日食べることをおすすめします。そして花粉シーズンの間は継続的に食べ続けてください。食べ物は薬と違って毎日食べ続けても安心なのがメリットです。そして、納豆は花粉症にだけでなく健康に良い食べ物なので、花粉シーズンに関係なく積極的に食べてほしいですね。
- Q:先生のおすすめの納豆の食べ方はありますか。
(林教授)納豆菌の作用が一番発揮される食べ方は、お腹がすいているときに食べることです。納豆菌が腸管のパイエル板にくっついて入っていかなくてはいけませんが、それには空腹時がポイントです。例えば、ご飯の上に納豆をかけて食べると納豆菌がパイエル板に接触する面積が減ってしまうので、できれば納豆だけを食べる方がいい。したがって、花粉症対策を意識するのであれば、納豆をおやつ替わりにそのまま食べることをおすすめします。私もその食べ方をして、実際に花粉症症状が緩和されていると感じています。
- Q:生きている納豆菌でないと効果がありませんか?
(林教授)納豆菌は腸管のパイエル板に入ると直ちにバラバラにされます。つまり納豆菌は生きていなくても作用が発揮されるということです。ですから、納豆を加熱調理して死菌となった納豆菌を食べても免疫活性化作用に問題はありません。
- Q:「菌活」がブームです。納豆以外でも身体に良い菌を摂取することは健康に効果的ですか?
(林教授)3大善玉菌と呼ばれる菌は、ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌です。どれも積極的に摂ることをおすすめします。ビフィズス菌は生まれたての赤ちゃんの頃には腸内フローラにたくさん存在していますが、年齢とともに劇的に減っていきます。乳酸菌もヒトが生来持っている菌ですが、やはり年齢とともに減っていきます。ただしそのスピードは徐々にです。この2つの菌は年齢とともに減るとはいえ本来ヒトが身体に持っている菌ですが、納豆菌はもともとヒトが持っていない菌なので食べない限り身体の中には存在しません。だからこそ、納豆はできるだけ毎日継続的に食べる方がいいのです。
- Q:その他に花粉症対策におすすめの食材はありますか。
(林教授)私は約10年前に花粉症を発症したのですが、最初にアカモクなどの海藻やきのこを積極的に食べていたんですね。そして約2年前から納豆も合わせて食べ始めたところ症状が緩和されたと感じたのです。アカモクだけで症状がかなり抑えられている人もいるようですが、アカモクはお住まいの場所や時期によっては手にはいりにくいこともあるのが難点です。私はアカモクを乾燥パウダーにして使っていました。その点、納豆はどこでもいつでも手軽に買えるところもメリットですね。
林先生、貴重なお話をありがとうございました!
●林京子先生のプロフィール
中部大学大学院 工学研究科 客員教授、薬学博士
1976年3月京都大学薬学研究科博士課程修了。富山大学大学院医学薬学研究部の講師を経て2017年4月から現職。主な研究内容は、植物由来の天然成分や合成化学物質のウイルス増殖阻害作用の解明による抗ウイルス薬の開発。感染防御機能に着目したウイルス感染症対策の検討、など。
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